やることは山ほどあるのに、一日中、なんだか眠くてやる気が出ない。布団から外に出たくない。冷え込みが激しいこの季節、気分の優れない「憂うつ感」に襲われる人が増えてくる。
「冬の時期、ほとんど太陽が出ない北欧などで患者が増える“冬うつ”は、最近日本でも見られるようになりました。“冬うつ”とは“季節性感情障害”の通称で、憂うつ感に加えて食べすぎ、寝すぎで体がだるい、体重が増えるといった症状が出てきます。厄介なのは、不眠や食欲不振などを訴える典型的なうつとは正反対の症状が出るため、うつであると自覚しにくいところ。放置していて症状を悪化させてしまう人もいるので、早めに気づいて適切な治療を受けることが大切です」
そうアドバイスするのは、パークサイド日比谷クリニックの立川秀樹院長。季節に敏感な人に見られる冬うつは、男性よりも女性のほうが多く、ある研究データによると患者数は男性の1.5倍に上るという。主婦のなかでも、自宅にこもりがちになっても大きな支障をきたすことがない人は、症状に気づかず潜在化しやすいので注意が必要だと立川院長は話す。
「症状としては、1日の日照時間が少なくなるとともに、徐々に元気がなくなり、疲れがたまっているわけでもないのにとにかく眠くてだるくなります。ある患者さんは8時には普通に起きて朝ご飯を食べても、また布団に潜り込む。そのまま寝続けて夕方の4時ごろに目が覚める。面倒くさいと食事は作らず、手っ取り早く食べられる菓子パンやカップラーメンなどで済ませる。そしてまた寝る……、といった負のスパイラルに陥った人もいました」(立川院長・以下同)
寝てばかりいて代謝が落ちたところに、高カロリーなものばかり食べるのだから当然太る。つまり、冬うつの人は、“冬デブ”スパイラルに陥りやすい傾向があるというのだ。個人差はあるが、秋から冬にかけて2~3キロ体重が増える人が多く、なかには冬のうちに体重がプラス10キロと激増してしまった人もいたという。
「うつの症状を訴える人は、食事に“癒し”を求める傾向があります。特に欲するようになるのが、菓子パンやスイーツなどの甘いものや炭水化物。それで寝てばかりいるので、体重が増えてしまうのです」
季節性のうつなので、春が来るころにはたいてい症状が好転するというが、増えてしまった体重はそのままだ。このような、冬うつの気になる症状をまとめたものが、次のチェックリストだ。あてはまる項目が多いほど、冬うつの危険度大!
□常にではないが、多くの時間、憂うつを感じる
□常にではないが、多くの時間、何事も楽しいと思えず、興味がわかない
□冬の時期、気持ちが落ち込むことが多い
□特に午前中は調子が悪い
□食欲はある。特に菓子パンが食べたくなる
□最近、体重が増えた
□睡眠時間が増えた。あるいは日中眠くて仕方ない
あてはまる項目が多く、冬になると憂うつな気分になりがちな人、冬太りを繰り返す人は一度、心療内科や精神科などを受診しよう。