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「自分の子どもが不登校で……、と電話相談を受けて家庭訪問をすると、お子さんだけでなく、40代以降のお母さんもひきこもり、というケースをよく目にします。ご本人は自覚していませんし、専業主婦という立場上、問題が表面化することもありません。いわば、“かくれひきこもり”なんです」

 

そう話すのは不登校やひきこもりの自立支援を行う団体、関東自立就労支援センターの平岩健さん。内閣府は今年3月、中高年(40〜64歳)のひきこもりを調査。全国に男女合わせて約61万人おり、女性は約14万人と推計した。

 

「内閣府の試算のなかには、さっきお話しした“かくれひきこもり”の主婦はカウントされていませんから、もっと多くなるのでは」

 

実際に内閣府の調査では、専業主婦は無職の人と比べ、ひきこもりとみなされにくい。また、一部の自治体の調査では、ひきこもりの定義で、“専業主婦を除く”としている場合も。そこで今回、中高年女性(40〜64歳)のひきこもりを取材。すると、さまざまな理由でひきこもりになることがわかってきた。

 

■ひきこもった子どもに寄り添い自分も……

 

前出の平岩さんが目にしたケースはこうだ(個人情報秘匿のため、相談内容を一部変更して紹介)。

 

「前に、お子さんのひきこもりの相談を受けたBさんは47歳の専業主婦。以前は、小学校の先生をされていましたが、中1だった娘がひきこもりになったとき、『自分が仕事ばかりで、娘をほったらかしにしていたのでは』と思い、教師を辞めて、お子さんに寄り添うことにしたそうです」

 

しかし、仕事を辞めても子どものひきこもりに変化はなかった。

 

「寄り添っても、子どものひきこもりは改善しないし、職は失うしで、自信をなくされたんでしょうね。Bさんは次第に、『先生になるため努力してきたのに、自分の人生はなんだったのか』と、塞ぎこむようになったそうです」

 

さらに、「あそこの子はひきこもりだ」という近所の目も気になり、外出も避けるように。現在は、週に1度、クルマで家から離れたスーパーに食材を買いに出かける程度だという。

 

「10年以上、母子でひきこもっている家庭も少なくありません。仕事を辞めると、人と接する機会は急になくなる。さらに、子どものひきこもりを知られたくないので、外で友人に会うことも、ましてや家に呼ぶこともない。結果、社会と断絶してしまうのです」

 

女性のうつやひきこもりに詳しいメンタルアップマネージャの大野萌子さんは、ひきこもりを長期化させないためのコツをこう話す。

 

「市や区の行政の窓口には、市民相談窓口が設置されていますし、各地域には、ひきこもりの家族会などもあります。ちょっとした悩みでも、早めに相談することが長期化を防ぐカギです」

 

ひきこもり、塞ぎがちになるきっかけはさまざま。まずは頼れる人に、気軽に相談することを心に留めておきたい。

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