「暑い夏はお風呂に入る気がしない……」というアナタ! いまの時期こそ、入浴が持つ健康効果は計り知れません。“お風呂のソムリエ”が簡単で健康によい入浴法を伝授ーー。
人々の外出の機会が徐々に増え始めたいっぽう、新型コロナウイルスを取り巻く事態はまだまだ予断を許さない。効果のある治療薬やワクチンが開発されるまでは、キチンと体のメンテナンスを行うことで感染を防ぐしかなさそうだ。
「コロナ禍で改めて注目されている健康法が、入浴です。体の深部の温度を上げることで、免疫力を高める効果があります。さらに、入浴中に吸い込んだ湯気が、鼻や喉の粘膜についた汚れやウイルスを洗い流してくれるという効果も期待できます。ただし、これらの効果を最大限に引き出すためには、浴室の環境づくりや入浴法が大事なんです」
そう話すのは、“お風呂のソムリエ”として、温泉入浴指導員や温泉健康指導士の資格を持つ松永武さん。でも、真夏に湯船にじっくりつかることはあまりしない人も多いのでは……?
「たしかに夏はシャワーだけですませてしまう、という人も少なくありません。しかし、シャワーだけでは体の深部体温を効率よく上げることができないのです。やはり夏でも、鎖骨までつかる“全身浴”を行いましょう」
そこで、コロナにも夏バテにも負けない「真夏の入浴術」を、松永さんに聞いた。
【1】水を手足にかけて“血管マッサージ”を!
「湯船から出たときに、手足に水をかける“温冷浴”や、外気を入れたりする“外気浴”は体によい入浴法です。体を温めると血管が拡張し、冷やすと血管が収縮するため、これを繰り返すことで、血管のストレッチになるからです。湯船につかりながら手に水をかけたりするだけでもOKです」(松永さん・以下同)
【2】入浴中の運動は“空のペットボトル”で
「真夏になると外の暑さに参ってしまって、運動不足という人も多くなります。そんなときは、湯船につかる時間を利用して運動しましょう。同じ筋トレをするのでも、リビングでするより水の中のほうが負荷をかけられますから、より効果を得られます。空のペットボトル(500ミリリットルでも1.5リットルでも可)を湯船に持ち込み、両手や両足で湯船の底まで沈める動作を繰り返します。ペットボトルがない場合は、湯船に座った状態で、足を縦や横方向に、バタ足のように動かしましょう。ゆっくり動かせば負荷が少ないですし、速く動かせば負荷が大きくなるので、ご自身の体力に合わせてやってみてください」
【3】お風呂上がりはバスローブで汗を吸収
「深部の体温を温まったままにしておくには、入浴後も重要です。まず、お風呂から上がったら、しっかり体の水分を拭き取ること。水分が体に残っていると、水分が蒸発するときに体の熱が奪われて、せっかく温まった体が冷えてしまいます。また、汗が引くまでは、吸水性のよいバスローブなどを羽織っておくのがベスト。体が乾いてから、パジャマなどに着替えるようにすると、ベッドに入るまでに体の深部が冷え切ってしまうのを防ぐことができます」
【4】平日は寝る前に、休日は昼から入浴
「平日は、できれば就寝の1時間ほど前に入浴するのが理想です。お風呂で温まった深部体温が下がってくるときに眠くなるので、良質な睡眠が得られ、さらなる免疫力アップにつながります。時間がある休日は、昼間からゆったり湯船につかり、出たり入ったりを繰り返し、自律神経を整えましょう。とはいえ、やっぱり夏場にじっくり湯船につかるのはつらい、という人もいるはず。そんな人には炭酸ガス、水素ガスの入浴剤がオススメ。血管がより拡張され、ぬるま湯でも短時間に体の深部を温めることができますよ」
かしこい自宅入浴術を身につけて、コロナ禍と暑い夏を乗り切ろう!
「女性自身」2020年7月21日号 掲載