「だいたい40歳を境に老化現象として動脈硬化が進んでしまい、脳の血流が悪くなってしまします。脳の血流が悪くなると脳の働きも悪くなり、そうなると脳に疲労がたまってしまいます。その状態が続くと、物忘れなど認知症の初期症状を引き起こしてしまうことがあります」
こう話すのは、多くの認知症患者を診てきた脳神経外科医の竹内東太郎先生。
「脳の血流が減ってしまうと、脳の神経細胞のエネルギーとなる酸素やブドウ糖の供給が滞り、エネルギー不足となった脳は働きが鈍くなります。それが、脳が疲れているという状態です。疲労が蓄積すると認知症の初期症状である物忘れや頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、不眠などがサインとなって現れてきます。それを放置しておくと、本格的な認知症に進んでしまう危険があります」
そこで竹内先生が考案したのが、自宅で簡単にできるトレーニング「OK指体操」だ。この体操は「音楽(“O”NGAKU)に合わせて健康(“K”ENKOU)になろう」という竹内先生の考えから先生自身が考案したもので、手足の指を動かすだけで脳の血流が増えるというものだ。
今回は「手のパッパ運動」をはじめとする4つの手を使ったトレーニングを紹介。脳の疲れをためないためにも、生活に取り入れてみたい。
■手のニギニギ運動
【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。
【2】親指だけ伸ばしたまま、親指以外の4本の指を曲げたり伸ばしたりする。曲げて伸ばすのを1回として、両手同時に8回繰り返す。
■手のパッパ運動
【1】両手の手のひらを前方に向けて指をそろえる。指同士の側面がしっかりつくように。
【2】5本の指を閉じたり開いたりする。閉じて開くのを1回として、両手同時に8回繰り返す。
■手のキラキラ運動
【1】両手の手のひらを前方に向けて指を軽く開く。
【2】肩と腕の力を抜き、手の甲を外側に向けて回転させる。また戻す。回転させて戻すのを1回として、両手同時に8回繰り返す。
■手のグッパー運動
【1】両手をグーの形にして胸元に引きつける。
【2】手のひらを正面にパッと開きながら、腕を前方に突き出す。指をひらくときは、折り曲げた指をしっかり伸ばす。突き出して戻すのを1回として、両手同時に4回繰り返す。
音楽に合わせて手足の指を動かすことで、聴力と記憶をつかさどる側頭葉と、思考・判断をつかさどる前頭葉の反応が活発になり、脳の半分以上の領域が活性化するという。
竹内先生が行っているリハビリでは童謡の『ふじの山』に合わせて体操しているが、自分の好きな音楽に合わせて楽しみながらやってみるのもいいだろう。