「物忘れと認知症の違いについて、ご存じでしょうか。物忘れがひどくなったと認識している人は認知症ではありません。認知症の人は物忘れしていること自体を忘れてしまう人を指します」
こう話すのは、南越谷健身会クリニック院長の周東寛先生。
「たとえば昼ごはんを食べて少ししかたっていないのに『昼ごはんは?』と聞かれて、『えっ、食べてないよ』と食べたこと自体を忘れていたら、認知症を疑ってみてください」
そんな周東先生が常食しているのが、低脂肪ヨーグルトにオリゴ糖をかけたもの。
「腸は“第二の脳”ともいわれるように、脳の次に神経細胞が多い器官です。強いストレスがかかるとおなかが痛くなることがあるように、脳と腸は深く関わっています。ですから、脳の健康には腸内環境を整えることが大事だと私は考えています」
ヨーグルトには腸内環境をよくする乳酸菌やビフィズス菌が豊富で、オリゴ糖は、腸内の善玉菌のエサとなってくれる。
「またヨーグルトに豊富なカルシウムが不足すると、高血圧、糖尿病、アルツハイマー型認知症などを引き起こすとされていますので、カルシウム補給のためにも毎日食べるようにしています」
周東先生といえば、ユニークな体操の発案者としても有名だ。
「みなさんは毎日どれくらい運動していますか。WHO(世界保健機関)によれば、週に150分の緩い運動をしていないと運動不足とみなされます。15歳以上の日本人の65%が運動不足といわれていますが、運動不足は全身の血流を悪くし、脳の認知機能維持にも少なからず影響してしまいます」
そんな周東先生が100歳になっても負担なくできる運動として自ら実践しているのが「ゴキブリ体操」だ。
体操自体はいたって簡単。床やベッドなど平らなところにあおむけになり、両手両足をなるべく真上にあげる。そして、手を阿波踊りのように左右に回転させながら、足は自転車のペダルをこぐ動き(ときどき逆回転も)を繰り返す。これを1日1回3分間を目標に。
「子どもから高齢者まで、簡単に体を動かして全身の血流をよくするストレッチを、と考えたのがきっかけでした。人間は手足に全身の70%の毛細血管がありますから、両手足を心臓より高い位置に持っていくことで、血流がみるみる促進されます。そのうえで、手足をバタバタさせて日常生活では使わないインナーマッスルも鍛えられるようにやってみると、まるでひっくりかえってジタバタするゴキブリのよう(笑)。それで、この名前になったんです」
最初は30秒ほどからスタートして、徐々に3分間を目指すこと。途中で休む際も、手足を上げたままが理想。ぜひやってみて。