■チョコを食べ続けても体重が増えなかった!
被験者全員が、チョコレート以外に関しては一切食事制限をせずに2週間過ごし、その後、それぞれのグループを体重増加率など多くの指標で比較したという。
「この研究のように、毎日500キロカロリーを超えるチョコレートを2週間食べ続けると、本来約1キロ体重が増加するはずです。さらに、女性は閉経するとエストロゲンが減少するなどホルモンのバランスが崩れ、太りやすい状態になります。しかし、今回の実験で朝や夜にチョコレートを食べたグループでは、体重が増加しませんでした。それどころか“朝チョコ”にはウエストサイズが小さくなるダイエット効果まで見られたんです」
実験によると、朝にチョコレートを食べたグループは、食べなかったグループに比べ、脂質の燃焼が促進されており、ウエストサイズは1.7%小さくなったという。メタボリックシンドロームの基準となるウエスト90センチで考えると、約1.5センチ減少したことに。
「空腹時の血糖値は4%下がり、ストレスホルモンのレベルも低下。空腹感や、甘いものを食べる欲求を抑える効果も見られました」
また、夜にチョコレートを食べたグループは、寝付きがよくなり、睡眠が規則的になったとの報告も。さらに、糖質の燃焼が35%も増え、翌日の摂取カロリーまで減少したという。
なぜチョコレートを食べるとやせるのだろうか? そのヒントは“食べる時間”にありそうだ。
「今回の研究で明確なメカニズムは明らかにされていませんが、研究に関わったシェアー博士は、チョコレートを食べるタイミングに答えがあるのではと考えています。こうした“食べる時間”に着目した栄養学である“時間栄養学”は、世界の研究者が注目している分野でもあるのです」
食事をすると、運動をするときのようにカロリーが消費される。ドイツのリューベック大学の研究によると、この食事によって消費されるカロリーの量は、朝だと夜の2倍多くなるのだという。
「また、“朝チョコ”で空腹感を抑えたのは、ポリフェノールの一種であるフラバノールのエピカテキンといった物質ではないかと推測されています」
カカオ含有率が高いダークチョコレートや純ココアなどに豊富に含まれるポリフェノールは、血圧を下げ、心疾患、脳卒中、糖尿病、認知症のリスクまで下げるといわれている。