■ターメリックはアミロイドβの蓄積を予防する
「ターメリックに含まれるポリフェノールの一種・クルクミンには高い抗酸化作用と抗炎症作用があります。さらにクルクミンには、アルツハイマー型認知症の引き金にもなるアミロイドβの蓄積を予防する働きもあり、ターメリックが認知症予防に効果が期待できるという医学論文も出ています。さらに、ターメリックには美容効果や解毒作用、利尿作用、血液浄化作用があり、肝臓の強化やがん予防の効果も期待できるのです」
そう教えてくれたのは、インドの伝統医学・アーユルヴェーダにも通じている医師の北西剛先生だ。北西先生は患者の自己治癒力を高めて全身を整えるためにも、現代医学だけではなく、代替医療や伝統医学も取り入れているという。
スパイスの本場であるインドでは、風邪や感染症予防のために、ターメリックと塩をひとつまみ入れた水でうがいをするという。それほどターメリックはインドの日常生活に密着したスパイスだそう。ゴールデンミルクにはさまざまな効果が期待できるが、そのなかでも特に注目されているのが「免疫増強作用」だという。
■夜寝る前に飲むとおなかが温まり、安眠できる
「新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、インドの伝統医学を管轄するアユシュ省では、いくつかの免疫増強のための習慣を推奨しています。そのなかのひとつに、ゴールデンミルクも含まれているのです」(北西先生)
アユシュ省推奨のゴールデンミルクのレシピは、150ミリリットルの牛乳にティースプーン半分のターメリックを溶かすこと。1日1〜2回飲むといいと勧めているそうだ。
「アユシュ省のレシピでは甘味について明記されていませんが、好みで少量加える程度ならいいと思います。飲むタイミングはいつでも構いませんが、夜寝る前に飲むと、おなかが温まり、精神的にも安定するので、ぐっすり安眠できると思います」(北西先生)
また、ターメリックは脂溶性(油脂に溶ける性質)のスパイスだ。乳脂肪が含まれる牛乳と一緒に摂取すると、吸収率が高まるという。ターメリックと牛乳はまさに“ゴールデン”な組み合わせなのだ。
「しかし、いくら体にいいからといっても、飲みすぎは禁物。一度にたくさんのターメリックを摂取したところで、体が栄養素を吸収しきれません。毎日1〜2杯のゴールデンミルク習慣をつけることが大切です」(北西先生)
毎日ゴールデンミルクを飲んで、認知症予防とコロナに負けない免疫力をつけよう!
【PROFILE】
印度カリー子
’96年生まれ。スパイス研究家。スパイス専門店「香林館」代表取締役。スパイスカレーを普及させるためテレビや書籍で幅広く活躍
北西剛
きたにし耳鼻咽喉科院長。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医。日本気管食道科学会専門医。日本アーユルヴェーダ学会会長