多くの人が知らない「6、7月の熱帯夜」の恐怖…心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクが増加!
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■持病のない人でも突然死のリスクが

 

さらに、動脈硬化のような持病がない人でも、“熱ストレス”の影響に注意が必要だと指摘するのは、救急医療に約20年携わってきた「すぎおかクリニック」院長の杉岡充爾先生。

 

「血管は収縮と拡張を繰り返して全身にくまなく血液を送っています。ところが過剰なストレスがかかると血管は突然けいれんを起こして強く収縮。血流が止まり、脳梗塞や心筋梗塞など、重篤な血管の病気を招きます。

 

熱帯夜の熱ストレスでは、血管自体に動脈硬化のような障害が起きていなくても、血管のけいれんが発生して血管を詰まらせてしまうことも。働き盛りの人でも突然死することがあるのです」

 

熱帯夜に限らず、人はストレスを感じると、血管へのダメージを最小限にとどめるため、副腎で作られる抗ストレスホルモン(コルチゾール)を分泌し、血管の緊張状態を和らげようとするという。

 

「ストレスが多い生活を過ごしていると、副腎の機能が追いつかず疲弊してしまい、抗ストレスホルモンが作られにくくなります。  そんな状態で熱帯夜のような過度なストレスがかかると、血管がけいれんを起こしてしまうのです」(杉岡先生)

 

熱帯夜が予想されるときは、就寝までにストレスをリセットしておく習慣が重要だという。

 

「日ごろからイライラしないような生活をすればいいのですが、生きていればストレスがたまるのは当たり前です。

 

夕方以降は、入浴やアロマテラピーなどリラックスできる時間を過ごして、自律神経のなかでも休息モードの副交感神経の働きを高めておくことで、抗ストレスホルモンが分泌されやすい状態を作っておきましょう。そうすれば、熱帯夜による血管へのストレスも軽減されるのです」(杉岡先生)

 

また、血管の病気以外にも、呼吸器疾患、肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、ぜんそく、腎臓病などによる死亡も熱帯夜と深く関係する。

 

「寝苦しさからくる睡眠の質の低下により、免疫力が下がっていることが考えられます。感染症にかかりやすくなったり、持病が悪化することで死亡率が上がるのです」(キム助教)

 

動脈硬化の心配がある人、持病がある人は、熱帯夜が寿命を縮めるリスクであることは心にとどめておくべきだ。

 

電気代の値上がりで、エアコンをつけるのを渋りたくなるところだが、熱帯夜には家計よりも、命を守る選択をしよう!

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