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新型コロナウイルスやインフルエンザの流行の影響により、解熱鎮痛剤や鎮咳去痰薬(咳止め薬)が入手困難になるというニュースが相次いでいる。以前のように、簡単に薬が入手できない昨今、うかつに風邪もひけない。

 

ところが、どこの家庭にもあるような常備品で、熱、咳などの風邪の症状に対処することができる優秀な食品があると、医学博士で食品医学研究所所長の平柳要先生は言う。

 

「民間療法のように、昔から人々の間で使われていた食品などで、科学的なエビデンスが証明されている食品がいくつかありますが、そのひとつがはちみつです。特に、はちみつの咳への働きは顕著で、2021年のオックスフォード大学の研究では、上気道感染症の改善に関して、市販の鎮咳去痰薬や抗ヒスタミン薬よりも、就寝前の小さじ半分のはちみつのほうが、咳を鎮める効果が大きいと発表されています」

 

このほかにも、はちみつには抗菌・殺菌作用や抗ウイルス作用、胃腸の不調改善、口内炎予防などの効果があることもわかっており、インフルエンザや新型コロナウイルスにもはちみつが効果アリという研究結果もあるそう。特にマヌカハニーやそばはちみつなどで、高い効果が表れているのだという。

 

また、同じように、黒コショウは昔から食欲増進、血行促進、解熱、解毒、抗菌などの用途に使われているスパイスだが、黒コショウに含まれるピペリンという生理活性物質には、抗炎症・抗酸化作用、免疫調節作用、認知機能改善効果などがあるということがわかっている。こちらも日常的に、手軽に使えるありがたい“食薬”だ。

 

「黒コショウには体を温める作用などさまざまな効果が研究されていますが、私が特に注目しているのは、黒コショウが、同時にとる食材の栄養成分の吸収率を高めるという特徴です。たとえば、秋ウコン(ターメリック)と黒コショウを使った研究では、秋ウコンに含まれるクルクミンの吸収率を、黒コショウに含まれるピペリンが約20倍に高めてくれることがわかっています」(平柳先生、以下同)

 

クルクミンとピペリンを一緒にとった場合の相乗効果は顕著で、新型コロナウイルス感染症の症状の早期回復や入院期間の短縮が期待できるという研究結果もある。

 

「どうやら、黒コショウは“黒子”的な働きをする傾向があるようで、黒コショウとはちみつを一緒にとることで、黒コショウがはちみつの働きを高めてくれることが期待できます」

 

はちみつの咳止め効果、黒コショウの消炎作用といった働きは、まさに今の季節、風邪の症状を抑えるのに役立ちそうだ。

 

こうした家庭で使える食品には、はちみつや黒コショウのほかにも、秋ウコン、しょうが、シナモン、サフラン、唐辛子、クミンなどがある。スーパーに並ぶ食材のなかに新型コロナウイルス感染症の予防薬として機能するものがあるのなら、日ごろから積極的にとりたい。

 

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