「重たいものを持ち上げたら背中に痛みが走って、動けなくなった。急いで病院に行ったところ、背骨が圧迫骨折しているといわれ、さらに骨粗しょう症と診断された。
まだ60歳前なのに、骨折の原因が骨粗しょう症なんて、本当にショック……」
50代後半のA子さんはこう嘆く。
彼女は背骨の圧迫骨折の数年前に肋骨、そのさらに数年前に手首を骨折したことがあったのだが、まさかこの年齢で骨粗しょう症だとは思っていなかったという。
「実はこのようなケースはそれほど珍しいことでもありません」
というのは、山陰労災病院院長の萩野浩先生だ。
「A子さんのように、40~50代で手首を骨折したことのあるという人は、つまずいたり、転んだときに手をついて骨折しているのでしょう。
この時点ですでに骨が脆くなっていたと思われるのですが、そのことに気づかないまま、骨の強化に努めなかったため、その後、肋骨、背骨など、太い骨を次々に骨折したといえるケースです」
70代のB子さんは、背骨のうち3個が圧迫骨折を起こしていることがわかったという。
最初の骨折時はぎっくり腰だと思い安静にしていたが、痛みが治まらず、医師に診てもらったところ、背骨の2カ所が圧迫骨折と診断され、気づいたという。しかも、そのわずか3カ月後に転倒して3カ所目の背骨も骨折した。
こうした骨折を「ドミノ骨折」といい、一カ所を骨折したことをきっかけに次々と近くの体の中心部分の骨折が連鎖的に起こることがある。