日本初の“スマホ認知症”専門外来医が警鐘!「スマホ依存」を抜け出す簡単な方法とは
画像を見る スマホと上手に付き合って、脳の若返りを目指そう。

 

■固有名詞がとっさに出ないのはアウトプット障害のせい

 

「おととい何を食べたか思い出せない」といったほかにも、会話中に人や物など固有名詞がとっさに出てこないことがしょっちゅうある。さらには「台所に来たのに何を取りに来たのか目的を忘れた」、スーパーに買い物に行ったときなど「簡単な足し算、引き算などがとっさにできない」「買う物を書いた紙を持参するのを忘れた」といったことがあるとあせってしまうが、これらも「スマホ認知症」の症状だという。

 

「本当に認知症の症状がある人は、自分が認知症であることを強く否定しますし、記憶力、注意力、言語能力など認知機能を客観的に評価する検査も受けたがらない傾向がありますが、スマホ認知症の人は自分の状態を知りたいと思うので、素直に検査を受けてくれます。

 

当然、認知症ではないので『認知症ではなかった』と、確認できると安心してお帰りになります」

 

表1の「チェックリスト」で、3つ以上あてはまる人は、「スマホ認知症」の可能性が高いという。

 

■放置していると、うつや不眠になる危険性も

 

「スマホ認知症に心あたりがある人は放っておいてはいけません。スマホ依存症の状態にあるので、うつ病や不眠症だけでなく、本来の認知症になるリスクが高まってしまいます。依存度が深刻化すると心身ともに悪影響を及ぼし、日常生活にも支障をきたすので、まずはスマホを使わない時間を作ることが大切です」

 

「スマホ認知症」が疑われたら、少しの時間でも、スマホを手放しデジタルデトックスすることからはじめよう。

 

「なんでもスマホで検索するクセがついている人は、いったん立ち止まって自分の頭で考える習慣を心がけましょう。

 

たとえば、地図アプリを使わないで知らない道を散歩するのも、さまざまな発見があっておすすめです。“歩きスマホ”を防ぐためにも、『機内モード』に設定してみてはどうでしょう。

 

また、脳を休めるために、休憩時間に20~30分の昼寝をするとスッキリします」

 

ほかにも、皿洗いやキャベツの千切り、雑巾掛けなど、日常的に行っている家事は「リズム運動」にもなるので、依存症の対処法にもなるそうだ。

 

「機内モード」のほかにも、iPhoneでは「スクリーンタイム」を設定して、使用時間の上限を決めることができる。

 

■スマホ画面をモノクロに設定して、ドーパンの分泌を抑制

 

「スマホに依存してしまう一つの要因として、ドーパミンの過剰分泌が考えられます。この神経伝達物質の一つであるドーパミンは、カラフルでどんどん変わるものを見ていると分泌される傾向があります。それが、快楽や満足感と結びつき、やめられない状態になってしまうのです」

 

スマホの設定を変えることで、このドーパミンの分泌を抑え、依存状態からの脱却、果ては認知症を防ぐ秘策があるという。

 

「ドーパミンが出ないようにするためには、スマホの画面をモノクロにすればいいのです(表2参照)。そうするとドーパミンの分泌が抑制されて、スマホの使用に歯止めがかかってきます」

 

実際に、記者もスマホの画面をモノクロに設定してみると、あらゆる写真や動画がつまらなく見えて、結果、だらだらとスマホを見続けるということがなくなった。

 

ただ、スマホが私たちに及ぼすのは悪影響だけではない。上手に使えば認知症の予防につながる。

 

「SNSを上手に使えば孤立・孤独の防止になりますし、Googleなどの検索エンジンでこまめに調べるのは知的好奇心を刺激します。自宅にいても道路沿いの風景がチェックできる『ストリートビュー』などを生かして、かつて旅行したところをたどってみると、幸せホルモンのセロトニンやオキシトシンが出てくることもあります。自分の思い出の場所や好きだったことについて調べるのは、認知症患者に行う『回想法』という治療法にもなっています」

 

スマホと上手に付き合って、脳の若返りを目指そう。

 

画像ページ >【一覧あり】スマホ認知症チェックリスト(他2枚)

【関連画像】

関連カテゴリー: