こんな症状に悩まされていませんか?
「同じ食事なのに自分だけ太りやすい気がする」「運動しても思うように痩せない」「昔はすぐに痩せたのに痩せにくくなった」など、最近太ってきたことに焦りを感じ、頑張ってダイエットに励んでみるものの、容易には結果が出せずに挫折し、自分を責める……。そんな悪循環に陥っている人はいないだろうか。
肥満は単なる“自己責任”とは言えない
「実は“肥満”は単なる“自己責任”ともいえないのです」とフォローするのは、総合内科専門医の柴田玲先生だ。
「私たちの身体は、ホルモンの変動や代謝のスピードといった“生まれ持った体質”に加えて、ストレス・睡眠・働き方・運動しにくい生活環境など、自分ではコントロールしきれない要素がいくつも重なって形づくられています。そのため、こうした条件が影響して肥満につながることは決して珍しくありません。つまり、“太るのは意志が弱いから”ではなく、“そうならざるをえない背景や原因が存在する”ということです」(以下、カッコ内は柴田先生)
肥満の定義とは
まずは肥満の定義から知ってほしいと柴田先生はいう。
「肥満とは脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した“状態”で、体格指数(BMI)25以上のものを指します。この時点では病気らしき症状が現れていないとしても、肥満の期間が長くなると、高血圧、脂質異常、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など、病気が生じるリスクが高まってきます。
BMIが25以上で、かつ肥満に関連する11の健康障害を持っている人、または内臓脂肪が100cm²以上の人が『肥満症』となります」
こうなるともはや単に“太っている状態”で片付けていてはダメで、治療が必要となる。
「肥満症を放置していると、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞など命にかかわる重篤な疾患を発生するリスクが高まります。しかし今は肥満症の治療法も確立されていて、治療をすれば改善のできる疾患となっているので、是非、医療機関を訪れて相談してください」
【肥満と11の健康障害】
1. 糖尿病・耐機能異常
2. 肥満関連腎臓病
3. 高血圧
4. 心筋梗塞、狭心症(冠動脈疾患)
5. 脳梗塞
6. 痛風・高尿酸血症
7. 脂質異常症
8. 脂肪肝
9. 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10. 整形外科的疾患
11. 月経異常・妊娠合併症
肥満症には当てはまらないが、すでに肥満の状態である場合は予備軍の可能性があるので気をつけたい。
「特に女性は、更年期に女性ホルモンのエストロゲンの分泌が急激に低下することで、体の“曲がり角”を迎えます。更年期を経て、お腹周りに脂肪がたまりやすい体質に変わるからです。日本人女性の場合は欧米型の体系に比べて、見た目はさほど太っているようには映らない“隠れ肥満”も結構います」
さらに、更年期世代の女性は家庭や仕事での責任が増すなど、ストレスが増えやすくなる年代でもある。運動をしたくても十分な時間がない、睡眠をとるのもままならないなど、複数の悪条件が重なることで、ますます太りやすくなってしまう。
厚生労働省が実施した、令和5年「国民健康・栄養調査」の結果によると、40代で19.0%、50代で24.3%、60代で25.0%女性が「肥満」に分類されている。
「女性は若い時には皮下脂肪が多いのですが、更年期を経て内臓脂肪が増えてくるとアディポサイトカインと呼ばれる脂肪組織から出るホルモン群のバランスが変化し、高血圧、高血糖、脂質異常などを引き起こし、動脈硬化が進みやすくなります。男性もですが、女性はとくに中高年は肥満症に移行しやすい世代となるので注意が必要です」
現在、日本における肥満症の診断を受けている患者は約38万人いるとされる(出典:Copyright(C)2025 IQVIA. IQVIA Claims(2022~2024)より。無断転載禁止)。同じく令和5年「国民健康・栄養調査」によると、日本人のBMI25以上の割合を見ると、男性は約31.5%、女性は約21.1%となり、人口から計算すると、肥満者の数は数千万人規模になると推測されている。
肥満症は医療機関で治療できる
そんな肥満症だが、治療法には生活習慣を変える食事・運動療法と薬物療法、外科療法などの複数のアプローチがある。
「肥満症の治療の基本は生活習慣を変える治療です。食事の見直しや活動(運動)量を増やすといったものが中心で、医療チームのサポートが入ります。これだけでも内臓脂肪は減り、肥満に関連した健康障害も改善するようになるでしょう。
ですが、家庭や仕事のストレスが多い、忙しくて運動する時間がとれないなど、患者さんの取り巻く環境によってはそういった療法を行っても健康障害の改善が容易にいかない場合も少なくありません。そういう場合は、必要に応じて薬物療法(※)や外科療法なども検討されます。
※薬物療法には、GLP-1受容体作動薬や食欲抑制に関連する薬剤、漢方薬など、複数の選択肢があります。
誤解を与えないよう繰り返しになりますが、治療の基本は生活習慣の改善です。他の治療法で体重を減らすことに依存しないよう、最終的には自分で体重をコントロールできる生活習慣をつけていただき、それを継続ができるようにならないといけません」
治療の目的は体重という数字よりも、高血圧、糖尿病、脂質異常などの合併症を改善し、生活の質(QOL)を高めることにある。
肥満症は命に関わる場合も…悩むことがあれば、医師に相談を
「肥満症は一人で治せるものではなく、放置をしておくと危険な疾患です。病気だから医師に相談していいんだと前向きにとらえて、あきらめずに治療をしていただきたいです。そうすることで肥満を改善することもできますし、健康な体で生活し続けることもできるでしょう」
早めの段階で自分の体の変化に気づき、その時点で変化に合わせた食生活や運動習慣を取り入れることで、健康寿命を延ばすことができるのだそう。
「いずれにしても、一人で悩んでいないで、医療機関に相談してください。きっと何か改善できることがあると思います」
【取材協力】
柴田玲先生
元名古屋大学教授・総合内科専門医。生活習慣病・循環器病、再生医療の最前線で豊富な経験を有する。現在は中部電力(株)健康管理室やセントラルクリニックグループにて、個人の診療から企業の健康戦略まで幅広く担い、医学の知見を社会へ実装する取り組みに力を注いでいる。
PR・お問合わせ先:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
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