■頭痛や肩こりの悪化、うつ病になるリスクも
ドライアイは「ただ目が乾いて疲れているだけ」と思う人もいるだろうが、決して甘く見てはいけない疾患だと有田先生は話す。
「ドライアイは目の表面が乾燥して角膜が傷ついたり、障害が起きたりする病気。目の疲れや乾き、異物感といった症状を伴います。
ドライアイは放置すると角膜にダメージが及んで視機能が低下するだけでなく、うつ病や睡眠障害になるリスクも高めるという研究結果もあるんですよ」
また、ドライアイを放置すると自律神経のバランスが崩れて、頭痛や肩こりといったさまざまな全身症状の悪化を引き起こす可能性もあるという。
このドライアイは前述したとおり環境に大きく左右されるため、日々の何げない生活習慣が、発症リスクを高めていることがある。そこでチェックリストを見てほしい。チェックが多くつく人ほどドライアイになりやすい。
「ドライアイには複数のタイプがあり、長い間、水分不足が原因だと考えられていました。しかし近年、ドライアイ全体の8割以上を占めるのが目の油分不足、あるいは目の油の質が悪いタイプであることがわかったんです。
目の角膜は表面を涙に覆われています。涙は3層構造になっていて最も外側にある油層が蒸発を防ぐ役割を果たしています。ドライアイは油分不足が原因であることが大半なので、いくら目薬をさして水分を補っても、この涙の中の油分の膜がない場合、水分は蒸発してしまい、逆に目の乾きを助長させてしまいます。
目薬を1日7回以上さしても目の乾く人は、明らかな油分不足ですね」
このような目の油分不足を助長させる可能性があるのが、チェックリストにある生活習慣だ。
「油分はまつげの生え際にある“マイボーム腺”と呼ばれる器官から分泌されていて、皮脂やメーク汚れなどで詰まることがあります。ここが詰まると油分の分泌がされないので、アイメークはしっかり落としてください」
それ以外にも、中性脂肪やコレステロールの値が高くなる食生活、体を冷やす、コンタクトレンズの長時間装用、運動不足もマイボーム腺の働きが低下する要因になりうる。
「油分不足によるドライアイは別名“目のメタボ”といわれています。つまり、体がメタボリックシンドロームになると、体内の油がドロドロになって涙の質も悪化してしまうのです」
体をメタボにさせない生活習慣がドライアイ対策に直結するので、食事や運動には気を使いたい。
