■少しの力でもツボに入り、女性でも簡単にできる
「体の中には経絡という気の通り道が線路のようにつながっています。これらの『気』の入口であるツボを刺激することで、気の流れが整い、同時に筋肉を包む筋膜のつながりを通じて、離れた場所の筋肉の緊張も緩んでいきます。直接患部に触れなくても症状が楽になるのは、こうした体のつながりがあるからです」
こう話すのは、鍼灸師・整体師で治療院「伊織鍼堂」代表の松田伊織さんだ。
松田さんはペンを使ったツボ押しを推奨している。その理由は、力加減がちょうどよいからだ。
「指を使ってツボを押そうとすると、力加減がわからず、爪が皮膚に食い込んで皮膚を傷つけたり、逆に押しているほうの指や手が疲れやすくなることがあります。女性は特にその傾向があります」(松田さん、以下同)
ペンのよいところは、キャップやお尻側の丸いところがツボに入りやすいこと。ペンに体重を預けるようにすれば、腕や指の力を使わずとも、自重だけで十分な圧がかかる。力は最小限で効果は最大限。だから女性でも簡単にできる。
松田さんに、肩こりに悩む人にペンを使ったツボ押し4種類を紹介してもらった。
【1】後谿(こうけい)
「小指から手首、ひじ、肩甲骨の内側から首へとつながる気の経路があります。この経絡上にある後谿への刺激は、デスクワークで背中が張る、スマホを見て肩甲骨あたりが張る、猫背、巻き肩、呼吸が浅い人などに効果的です」
後谿の場所は、手を軽くグーにしたときに小指の付け根の外側にできる横じわの端、少し膨らんだところ。そこにペン先を合わせ、息をフーッと吐きながら、ツボにペンを入れていく。そのまま深い呼吸を何度か繰り返す。
実際に記者も深呼吸を繰り返しながらツボを刺激しているうちに、ツボ押ししている側の肩周りが軽くなっていく感じがした。
【2】合谷(ごうこく)
「このツボは『面目合谷収』といって、顔にある目や鼻などの症状を合谷が収めるという意味があります。目の酷使が、さらに首や肩を硬直させていきます。こうした連鎖する不調に対して効果的で、比較的早く楽になれるツボです。首から肩の僧帽筋や胸元の胸鎖乳突筋の緊張もゆるめ、視力回復にも働いてくれます」
合谷の場所は親指と人さし指の付け根の間、水かきのところ。
【3】築賓(ちくひん)
「ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれ、心臓に血液を送り出すポンプの働きをしています。ふくらはぎにある築賓を刺激することで、血流が促進され、全身に血液が巡って体が温まり、冬に起こりやすい肩こりを解消していきます」
築賓は内くるぶしから指5本分ほど上、ふくらはぎの内側にある。
「このツボは更年期世代の女性の『冷えのぼせ』という、手足が冷たいのにホットフラッシュで首から上がほてる症状にピッタリのツボです。疲れやすく朝から肩が重いといった人におすすめです」
【4】神門(しんもん)
手首の横じわの小指側。後谿からそのまま手首におろしたあたり。神門は心の安定に関係するツボで、副交感神経を優位にし、過緊張からくる筋肉の緊張を緩和する働きをする。
「ストレスで緊張すると無意識に肩に力が入りますが、緊張が解ければ、自然と張りつめていた肩や背中が緩みます。神門はそうした緊張をリラックスモードに変えてくれる働きがあるのです」
イライラしやすい、夜寝つけないなど、精神的な要因からくる肩こりに悩んでいる人におすすめだ。
ペン1本でいつでもどこでもできる「ペンつぼ押し」。仕事中にデスクで、通勤電車の中で、居間でテレビを見ながらなど、いつでもどこでも手軽にできる。寒い季節はツボを押しながら血流アップで肩こりを解消しよう!
