「激安スーパーの総菜コーナーや、安さを売りにする弁当店では今、300円や、中には200円を切るようなお弁当メニューが登場しています。家で作るよりも手軽で安いため、給料の上がらないサラリーマンや、働くお母さんの強い味方になっています。しかし安さを追求するあまり、不安を感じさせる商品もあるんです」
こう警鐘を鳴らすのは、食品安全教育研究所代表で、食品コンサルタントの河岸宏和さん。今回、大手加工品メーカーやスーパーに勤務し、コンビニの商品製造・衛生管理の仕事に関わった経験もある河岸さんだからこそわかるという「激安弁当」の舞台裏を教えてくれた。
まずは、衛生管理面から。
「コンビニ弁当の場合、冷めても甘味が残る新米を使っています。また、衛生管理の行き届いた厨房で、炊いたコメの温度をすぐ20度近くまで下げています。温めたままの状態だと菌が繁殖しやすく、食中毒のリスクが高まるからです。残念ながら、激安弁当では、そこまで衛生的に管理された設備は期待できません」(河岸さん・以下同)
つぎにメインのおかず。子供たちが大好きなから揚げ弁当を例にとってみると。
「激安スーパーの店頭で生肉として売られていた鶏肉は、消費期限を迎えたりすると、腐らないよう冷凍保存されます。これを調理して使っていることが多いです。たとえ何カ月も冷凍保存しても、熱さえ通せば食中毒を起こすことはないためです。しかし、味は大きく変わります。肉は切ってすぐならおいしいですが、長く店頭に置かれると、うま味であるドリップが出てしまうのです」
河岸さんは「激安でも良心的なお店は存在する」と前置きしながらも、そうでない店もあると考えるべきだと強調する。では、消費者としては“良心的な店”をどう見極めればいいのか。
「スーパーの場合、閉店時間が近づいたとき、消費期限が近い肉類に『半額シール』などを貼っているか、チェックしてみてください。もし割引をしていないようなら、食材の使い回しが疑われます。また、お弁当に使用しているコメについて、産地や生産年度を聞いてみましょう。ちゃんと答えられないようなお店は、店舗内で調理すらしていない可能性があります」