「フェイスブックやインターネットなどのSNSで、それぞれの華やかさや幸せさを競争し合うことが定着してきているようです。昔は人の言動なんて、直接会わなければわからなかったのに、今は人と自分を比べて『自分は不幸なんじゃないか』と思う機会が増えてしまったんでしょうか。少しでも人に勝てそうなところを見つけると、つい自分のほうが上だと言わないと、自分で自分を認められなくなってしまう。日本人特有の謙遜という美徳が崩れ始めているんですね」
コラムニストの辛酸なめ子さんは、「マウンティング」し合う女性たちが増えている現状をこう分析する。そもそもマウンティングという言葉が話題になったのは、’14年。沢尻エリカ主演のドラマ『ファースト・クラス』での、格付けし合う女性たちのやりとりがきっかけだ。本来、マウンティングというのは、動物界で相手の上に乗り、自分が優位だと示す行為だが、今では、女性同士の会話で「さりげなく自分のほうが上だ」とアピールすることを指すようになってきた。
「女性の場合、思春期のころから『私は◯◯ちゃんより足が細い』『私は◯◯ちゃんよりカワイイ』など、見た目やスタイルで比較し合う生き物になります。いくつになっても女性はマウンティングから逃れられないのです」(辛酸さん・以下同)
辛酸さんは自署『大人のコミュニケーション術』(光文社新書)でも、「格付け女子」と題して、自身がマウンティングされた経験を披露している。そこで今回は、『女性自身』読者のために、ありがちなマウンティングと、そのかわし方を教えてもらった!
【ケース1】金にものを言わせるマウンティング
先日終了したドラマ『砂の塔』は、タワーマンションを舞台に、セレブ妻たちとの人間関係に悩む平凡な主婦が誘拐事件に巻き込まれていくというサスペンス。そこで描かれているタワマン高層階マウンティングは、経済力に依拠したマウンティングの典型だといえる。
「たとえば20階以上の住民だけでパーティをしたり、高層階の住人が低層階の住人をバカにするのはよくあること。高層階の固定資産税が上がるというニュースもありますが、ますます偉そうになっていくでしょうね」
そんなときは低層階のメリットを考えるのがいちばん!
「1階で数百人もの住民がいれば、エレベーターがなかなか来ないことも。低層階はエレベーターの点検中に階段でも行き来でき、非常事態が起きてもすぐ逃げられます。『地震があったときは、高層階はすごく揺れますよね〜、大丈夫ですか?』と逆に心配してあげましょう」
【ケース2】自分が好きすぎるマウンティング
自分の優越感を満たすためのマウンティングは、裏を返せば、「自分が好き」ということでもある。ふた言めには「若いってよく言われるの」と自慢してくる若さマウンティングへの対処法は−−。
「必死で若作りしている人に『若いですね』と言うことはあっても、本当に若い人には言いません。そもそも年相応ではなく、落ち着きがないってこと。同年代なら『私たちおばさんだよね』と現実に引き戻してあげてもいいかもしれません」
【ケース3】人のふんどしでマウンティング
マウンティングも最終段階にくると、自分自身のことではない要素でのアピールにまで行き着く。自分の果たせなかった夢を子どもに託すという、よくある話から発展したのが子どもの学校マウンティング。「私立に通う子どもの学費が大変」と自慢げに語るが−−。
「『◯◯の娘はイジメを主導していたんでしょ?』『◯◯の息子さんたち、今はどうしているのかしら』などと、子どもを私立に通わせている有名人のスキャンダルを話題にすることで、さりげなく足をすくってみて」
また、辛酸さんは「マウンティングしてきた人を『すごいね』『さすがね』とチヤホヤし続けると、際限なく調子に乗って行き、相手の人格が崩壊して行くので、その様子を観察するのもオススメです(苦笑)」とも語っている。