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「’16年5月に、ファンによるアイドル刺傷事件がありました。加害者はツイッターを使って、殺人予告や暴言などの嫌がらせを執拗に繰り返していました。しかしいま、一般の方からも、SNS投稿に執拗に反応してくる、個人情報や誹謗中傷が書き込まれる、性的や脅迫的なメッセージを何百通も連続送信されるなどの相談が後を絶ちません」

 

こう語るのは、ネット犯罪に詳しいアディーレ法律事務所の吉岡一誠弁護士。LINEやフェイスブックなどのSNSを使えば、同級生、ママ友、海外にいる知人まで、誰とでもつながれる時代。しかし、そのSNSでなにげなく投稿した写真やつぶやきがきっかけで、激しい憎悪や、はたまた恋愛感情を第三者に抱かれ、ストーキングの対象にされてしまう事件が増えているという。

 

では、どうしたらネットストーカーからの“最悪の事態”を未然に防ぐことができるのか?そこで、ITセキュリティ専門家の守屋英一さんと、SNSの危険性とメディア・リテラシーに詳しいジャーナリストの渡辺真由子さんが、ネットストーカーへの対処法を教えてくれた。

 

【対処法1】個人情報の公開範囲を自分で設定する

 

「投稿の共有範囲を細かく設定できる『プライバシー』設定から、友達や、友達の友達などに限定しましょう。ツイッターには、“アカウントを非公開にする”という表現で、許可した人にしか発信できない設定があるので、有効活用してください。友達が10人増えたら、などのタイミングで、定期的に公開設定は見直したほうがいいと思います」(守屋さん)

 

【対処法2】写真は、『過去』のものだけアップする

 

学校や職場がわかる写真や、特徴的な建物や看板の写り込み、「職場近くの◯◯カフェでお茶してます」「明日は◯◯のライブに行きます」といったなにげない投稿は、居場所を特定される危険が潜んでいる。「最寄り駅で電車遅延!」と混雑する写真を投稿した女性が、駅名を特定されてストーキングされたという被害も。

 

「GPS機能をスマートフォンでオンにしたまま撮影すると、位置情報や撮影日時が写真の投稿に反映されます。うっかりそのまま投稿してしまうと、家の中で撮影した写真は、自宅の住所がバレバレの危険が……。また、誰でも見られるプロフィール画像は遠目の写真や後ろ姿にするなどして、特定されにくいようにしましょう」(渡辺さん)

 

【対処法3】執拗コメントは無視!ブロックはしない

 

「徹底的に無視してください。返事をしたりしなかったりすると、相手は“本当は自分に気があるのかも、連絡すれば返事が来るかも”と期待します。『ブロック』という自分の投稿を相手に見せないように設定する機能もありますが、これはNG!ネットストーカーは、優しい言葉だけでなく、怒りまでも“自分のことを気にしている”反応として受け取り、エスカレートしてしまいます」(渡辺さん)

 

【対処法4】警察に相談するときは、「証拠」を確保!

 

増加するSNSでの事件や被害を受け、’16年12月6日、ストーカー規制法改正案が成立。SNS上での嫌がらせ行為も、「つきまとい」行為として追加された。これにより、ネットでの「つきまとい」にも、警告なしに加害者に禁止命令(行動を制限する措置)を出せるようになった。それだけでなく、罰則も「懲役6月以下、または罰金50万円以下」から「懲役1年以下、または罰金100万円以下」へ厳罰化された。

 

悪質な被害に遭ってしまう前に、まずは警察に相談しよう。そのときに大切なのは、なるべく多くの証拠を集めること。気持ちの悪いコメントやメッセージは、すぐにでも削除したくなるが、そこはちょっとガマン。消す前に書き込み部分と書き込み日時、URLがわかるように印刷や、スマホやパソコンのスクリーンショット機能で必ず残そう。

 

「警察では、生活安全課やサイバー犯罪対策課が担当です。嫌がらせの削除を依頼する『送信防止措置』や、発信者の特定を行う『発信者情報開示』ができるプロバイダ責任制限法という法律もあるので、証拠を集めたら警察の対応を待ちましょう」(渡辺さん)

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