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東洋経済新報社が、毎年全国の都市を対象に調査・発表している「住みよさランキング」。今年6月に発表された最新版では、1位の千葉県印西市に次ぎ、2位以下は北陸の7市がベスト10入りした。同社発表の最新版「全47都道府県幸福度ランキング」でも、1位に福井県、3位に富山県、5位に石川県と、北陸の県が上位。他を圧倒して、北陸が上位に名を連ねる。

 

また、東洋経済新報社発表の「移住幸福度ランキング(子育て世帯)」では、1〜3位までを北陸3県が独占しており、移住者にとっても住みやすい土地のようだ。北陸に住めば本当に幸せなのか?実態を調査するため、記者は「住みよさランキング」で2位になった富山県砺波市へと向かった。

 

砺波市は砺波平野の中心地にあたり、チューリップの球根生産で有名だ。東京は上野駅から北陸新幹線「はくたか」で、まずは富山県の新高岡駅まで2時間40分。そこから在来線に乗り換え、約20分で砺波駅に到着した。時間的には、大阪に行くのとほとんど変わらない。

 

駅舎には観光案内所が併設され、お土産も販売しているが、平日に駅にいるのは大半が学生。彼らが去ると駅前はほぼ無人となった。地元の人は車で移動しているのだろう。電車社会の東京とは大違いだ。飲食店や商店、病院などが軒を連ねる駅周辺を離れると、やがて視界が一気に開け、緑鮮やかな田園風景が広がる。田んぼの中にぽつりぽつりと、昔ながらの瓦屋根の古民家が点在するさまは、昔話の中の風景そのものだ。

 

「砺波では昔から、家から出てすぐに農作業ができるようにと、自分の家の周り一面が田んぼになっています。家々が連なっていないんですね。砺波のこの景観は『散居村』といって、日本でも有名です」

 

こう話すのは、防虫網メーカー「三恵ネット」社長・吉田直人さん(47)。彼の家族と友人が、砺波市での暮らしについて教えてくれるという。今回、話を聞いたのは、吉田さんの妻で同社総務部で働く恵美さん(45)と、会社員をしながら「となみ野魅力発信グループ KO・RA・RE」代表として砺波市のPR活動をする河合要子さん(50)。恵美さんは、高知県土佐清水市出身。結婚して以来、岡山、兵庫、大阪と転勤で引っ越しを繰り返し、11年前に直人さんの故郷の砺波市にやってきた。

 

「砺波に来て驚いたのは、ほとんどの女性が働いていること。これまで住んでいた土地では、ご近所さんは専業主婦ばかりでしたから」(恵美さん)

 

恵美さんは「三世代同居が、仕事と子育ての両立に一役買っている」と話す。

 

「わが家もそうですが、三世代で住んでいる家庭が多いですね。祖父母が子どもの面倒を見てくれるので、助かります。家が広いので、家族が多くても住みやすいんです。うちも敷地は600坪、家は160坪。お隣さんも離れているので、自宅でカラオケもできます(笑)。家が広いから、子だくさんの家庭も多いです。3人、4人と子どもがいる家庭は珍しくないですね。うちも長男、長女、次男と3人いますし」(恵美さん)

 

砺波市では「三世代子育て応援給付金」という制度を’15年度に開始している。三世代同居で、孫世代の子どもを0〜2歳まで自宅で育児した場合、子ども1人につき1回限り、給付金最大10万円を受け取れる制度だ。今年度も約60世帯が利用しているという。

 

「砺波に来て、物価が安いことにも驚きました。砺波市内はスーパーが多くて、価格競争が激しいんです。富山湾で捕れた新鮮な魚や産直野菜が安く手に入るので、砺波に来て食の楽しみが増えました」(恵美さん)

 

要子さんは「家、職場、スーパーと、だいたいどこも車で10分以内で行き来できるのが便利」と続ける。

 

「通勤ラッシュの時間帯でも渋滞することはまずありません。少し足を延ばせば、30分ほどで金沢市内やコストコ、スキー場やゴルフ場まで行けちゃいます。田舎だからといって、不便だと感じたことはないですね。生活のストレスは少ないです」(要子さん)

 

だからなのか、地元に残りたがる子どもも多いという。

 

「うちの息子2人は社会人ですが、『砺波がいちばん落ち着く』と言って、地元を離れません。将来も子どもが近くにいてくれると思うと安心です」(要子さん)

 

話を聞くうち、砺波の暮らしが猛烈に羨ましくなってきた記者。「いざとなったら移住しちゃう!?」と鼻息も荒く、砺波市役所を訪れた。

 

「住宅を購入するなら、500万円ほどから古民家を購入できます。富山県の物価は東京の約9割なので、都内からの移住なら、生活費も安く抑えられます。砺波市は富山県内でもとくに物価が安いと感じています。また、保育料も、いちばん高い場合で4万4,500円と、国の基準の半額以下で、3人目からは無料です。子育て世代にもおススメの街ですよ」(砺波市役所企画調査課・但田千恵さん)

 

砺波市が’15年に行った生活の満足度調査では、約8割以上の人が「満足」、もしくは「どちらかといえば満足」と回答。北陸に移住して、あなたも幸せになってみる!?

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