昨年10月ごろから下がり始めたガソリンや灯油の価格が、今も下がり続けている。レギュラーガソリンの全国平均は、1リットルあたり昨年7月に169.9円の最高値だったが、今年初めは145.2円。灯油も昨シーズン終盤の4月には、18リットルで1,900円を超えたが、今は約1,650円だ(経済産業省・石油製品価格調査による)。

 

「世界の原油価格は昨年6月をピークに下がり始めました。おもな原因は、アメリカがシェールオイルを増産して供給量が増えたことと、中国などの新興国が不景気で需要が減ったこと。原油が、供給過多になったのです」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。原油価格の暴落は、家計にどんな影響をおよぼすのか、荻原さんが解説してくれた。まず、アメリカではこの半年間で半額にまで値下がりしたことになるのだが、なぜ日本のガソリンは15%しか安くならないのか?

 

「日本は原油を輸入していますから、円安が大きく影響します。加えて、ガソリン価格の半分は税金です。原油価格が下がっても、税金は変わらないうえ、消費税増税の影響も受けているからです。とはいえ、原油輸入国である日本にとって、原油価格の下落は今のところメリットが大きいでしょう」

 

もし、円安と原油高が同時に進んでいれば、ガソリンが1リットル200円を超えていたかもしれないという。

 

「円高で苦しい中小零細企業や庶民にとって、特に東北の被災地の方には、寒さ厳しい冬ですが、少し暖かく過ごせるのではないでしょうか。この冬は、このまま安値で推移するだろうと思います」

 

反対に大打撃をうけているのは産油国だ。ロシアでは、通貨ルーブルが大暴落。ベネズエラも、債務不履行の危機に瀕している。いっぽうでは、ギリシャ危機も差し迫り、EU離脱となれば、一国の破たんが現実になる可能性も。

 

「世界は今、混とんとして不安定な状態。ひとたび何かが起きれば、世界に与える影響は計り知れません。グローバル経済の時代ですから、当然、日本にも余波が押し寄せ、今後は円安などで家計にもマイナス面が増えるかもしれません。世界に目を向けながらも、自分たちの生活を守ることが大事です」

 

ガソリンや灯油は落ち着いたものの、食品などの値上げラッシュで物価高は深刻。昨年11月の円安急進の影響が、春以降にもう一段階の値上げとなる可能性もあるという。

 

「一部の大企業を除いて、今年の春も給料アップの期待は薄いでしょう。私たちは財布のひもを固く締めて、家計防衛に努めるしかありません。安くなったガソリンや灯油も、無駄なく賢く使いましょう」

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