ここ数年で高齢者見守りサービスが爆発的に増えている。その理由としてあげられるのは、高齢化した親を心配する家族からのニーズが高まっていること。共働きや遠距離などの事情で、思うようなケアができない家庭も多い。そこで、本誌は、いずれウチも……と悩んでいる家庭に向けて、サービスを分類。それぞれについて、介護ジャーナリストの小山朝子さんに解説してもらった。
「高齢者へ毎日同じ時間に録音メッセージの電話が入り、『元気』『いつもどおり』など音声に従い番号を押すことで、結果がメールでこちらに届くといった簡易な安否確認ができる《オート型》や、生協などの家に立ち寄るビジネスに付随した《宅配ついで型》は比較的始めやすいサービスといえます。実は私も介護経験者。近隣に住む認知症の義母のために、《宅配ついで型》を利用したことがありました。いくら近くに住んでいても、共働きや子育てがあると24時間365日は見ていられませんよね。そこまで緊急性はないけれど、親が心配だという人は検討してみてはどうでしょうか」
認知症や持病を抱える高齢者にも対応できるのが、機械に頼らずに“人対人”で行う《コミュニケーション型》や、監視態勢が整った《モニタリング型》だ。
「ひとり暮らしだと、やっぱり寂しくなる。認知症の高齢者は不安になることが多く、電話をかけてくる回数が増えて、対応に困る家庭も多いと聞きます。《コミュニケーション型》では電話やテレビ電話を使い、スタッフが会話で寂しさを埋めてあげながら、直接安否を確認するので、より安心。認知症を抱えている場合、緊急用ボタンやペンダントを“忘れる”ことがあるので、日常生活をスタッフがカメラでチェックする《モニタリング型》を選ぶといいでしょう」
義母のために、電話での安否確認サービスも利用していた小山さんはこう語る。
「『電話で元気がなかった』などの報告を受けると、かえって不安になったこともあります。相手も表情や状態をすべて把握しているわけではありませんので、その点は留意しておきましょう」
転倒のリスクが高いなど、身体的な能力に不安がある場合は、ALSOKやセコムなどの警備会社が主流の《駆けつけ型》が向いているという。《生活センサー型》は、ポットなどの家電やガス・電気などの使用状況をもとに“そっと”見守ってくれるのがポイントだ。東京ガスや九州電力も取り組んでいる。
「両親が自立して生活していることが前提ですが、遠方でも仕事中でも、使用状況をチェックできるので安心感は得られます。カメラでのモニタリングなどをイヤがる親には向いていると思います」
民間サービスを使う前に、介護保険のオプションや市区町村で独自に行っているサービスの確認もしておきたい。
「コスト負担も小さくなりますから、可能な介護サービスにプラスして考えるといいでしょう。ただ、人員不足の問題もあり、民間と比べて手当てが薄い場合も。行政と民間のサービスを上手に組み合わせましょう」