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今月15日、国立がん研究センターが新しいデータを発表した。’14年に、新たにがんと診断された人は約86万7000人で、過去最高を更新。また、’18年には100万人を超える人が、がんになると予測されている。そこで、がんに対する必要な備えを経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。

 

沖縄県の翁長雄志知事や漫画家のさくらものこさんなど、がんで亡くなる方が相次いでいます。もしがんになったらと不安になる方、体はもちろん、お金も心配だという方も多いでしょう。

 

なかでも住宅ローンの返済は切実です。住宅ローンを組む多くの方は、契約者が死亡、あるいは高度障害に陥った場合、「団体信用生命保険(以下、団信)」でローンが完済される契約をします。ですが、がんなどで働けないときの保障は、通常、付いていません。

 

ところが最近、病気に対する保障の付いた団信が増えてきました。新しく登場したのは「がん50%保障団信」です。がんと診断されたら、住宅ローンの残高が50%免除されるもので、’15年末からじぶん銀行が、今年8月からソニー銀行が扱い始めました。

 

以前から、がんや脳疾患などの特定の病気になると、残りの住宅ローンが完済される「特定疾病保障付き団信」はありました。これと比べると、がん50%保障団信は、がん限定でローン残高も完済ではないなど、保障が少ないように感じます。ですが、大きな違いは保険料なのです。

 

特定疾病保障付き団信は、住宅ローンの金利が0.3%程度上乗せされるものが多いです。たとえば3000万円を30年ローンで借りた場合、金利が0.3%上乗せされると、約150万円余計に払うことになります。これが30年分の保険料、つまり、年間約5万円かかるのです。私は金利を上乗せしてまで、保障を広げる必要はないと思います。

 

これに対し、がん50%保障団信は、上乗せ金利がありません。保険料負担ゼロで、がんへの備えができるとうたっています。

 

ただ50歳以上の方は、契約できないことが多いです。また、ネット銀行での契約には、書類を自分で不備なく用意する手間と時間がかかることにも注意しましょう。

 

がん50%保障団信を含め、病気保障まで付いた団信はどんなものでも、住宅ローンの総支払い額を比較することが大切です。上乗せ金利にかかわらず、通常は不要な手数料や、住宅ローン金利そのものの高さによって、総支払い額が増えるケースもあるからです。

 

今年4月から、前立腺がんの粒子線治療や、食道がんのロボット手術などが保険適用となりました。公的健康保険は少しずつ、がん治療をはじめとする先進医療の保険適用を拡充しています。

 

先進医療だと10割自己負担で300万円かかった治療でも、保険適用になると現役世代の多くは3割負担で済みます。さらに高額療養費制度が利用でき、一般的な収入の現役世代なら、月9万円ほどの負担に抑えられます。

 

過度な心配をせずに、必要な備えを見極めたいものです。

経済ジャーナリスト

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