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「最近、毎月のように『電気、ガスが値上げ』なんてニュースが。ウチは2月の水道光熱費がコロナ前と比べて1.5倍になったんです! 夫はコロナ禍で収入が減ったのに、どうすればいいの……」

 

50代の主婦が困り果てて話す。今年に入って上がり続けている水道光熱費。だが、値上げはこれだけではない。経済評論家の加谷珪一さんが、次のように話す。

 

「昨年末のコロナ危機で、全世界的にサプライチェーン(供給の流れ)が寸断され、輸送価格が跳ね上がっています。一方でコロナ後の景気回復を見据えて各国企業が資材や食料の争奪戦を始め、価格が上昇しています。国内では、インフラの老朽化で工事費がかかるにもかかわらず、国や自治体は財政難で追加投資が困難なため、公共料金が上がる。さらに低金利で収入が減った銀行は、手数料などを値上げする。今年から数年先まで、ほとんどの分野で『値上げ』の流れは変わらないでしょう」

 

値上げになったものは多岐にわたるため、価格の上昇に気づかず、いつの間にか毎月の支出が増えているなんてことも……。また4月からは商品やサービスの価格を表示する際、消費税を含んだ「総額表示」が義務付けされたため、価格の上昇はわかりづらくなった。

 

すでに何が値上がりしたのか、これから何が値上がりするのか、家計のために知る必要がある。加谷さんに、私たちの生活に直結する「値上げ」を解説してもらった。

 

■燃料・水道光熱費

 

今年に入り、毎月、「前月より値上げ」の発表やニュースが続いているのが「電気・ガス」料金だ。

 

3月30日には最新の発表があり、家庭の平均的な使用料で換算した場合、5月の料金は前月に比べて、東京電力が276円の値上げ、東京ガスが131円の値上げとなることがわかった(記事内の価格はすべて税込み)。

 

「電気とガスは、ともに液化天然ガス(LNG)の価格高騰の影響を受けて、値上がりしています」(加谷さん・以下同)

 

いま、右肩上がりの電気代とガス代だが、今後の見通しはどうなのだろうか?

 

「5月の料金の発表がありましたが、その額をピークに、その後は横ばいになると思われます」

 

水道代は、埼玉県川口市が1月に25%値上げした。神奈川県横浜市では7月から12%の値上げが行われる予定だ。今後も、各自治体で大幅な値上げが予想される。

 

「全国の水道インフラは老朽化が進んでいます。でも、各自治体が資金不足で使用料を値上げして財源を増やさないとリニューアルできない状態なんです。少子高齢化の日本では、使用者数自体が少なくなり、ますます高くなるでしょう。30年スパンで、水道代は上がり続けると思います」

 

ガソリン代も、産油国の減産の影響で、原油価格が高騰したため、値上がりした。昨年4月には130円前後だった1リットルあたりのレギュラーガソリンの実売価格は、現在150円近くまで値上がりしている。

 

「コロナ前を超えている状況なので、そろそろ高止まりとなるとみています。電気・ガスと同様、5月をピークに、以降は横ばいで微増減するのではないでしょうか」

 

■銀行手数料

 

「メガバンクは全国のATMを急速に削減する方向です。莫大な維持費がかかるATMや紙の通帳の使用を『やめてほしい』のが大手銀行の本音ですので、私たちはネットバンキングに乗り換えていくしかないでしょう」

 

三井住友銀行は、4月1日以降に開設された新規口座で紙の通帳を利用する場合、年間手数料550円を徴収する。さらに、同行はコンビニATMの利用手数料も4月5日から値上げした。

 

毎月25日と26日以外の平日の手数料は、以前は8時45分〜18時が110円、時間外が220円だったが、いずれも110円値上げされ、それぞれ220円と330円となった。

 

「女性自身」2021年4月20日号 掲載

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