【自然遺産編】
■ジンバブエ、ザンビア「ヴィクトリアの滝」
ジンバブエとザンビアの国境をまたぐように鎮座。幅約1.7キロメートル、最大落差は約110メートルで、雨季に流れ落ちる水量は毎分5億リットルにもなる。
「その勢いはザンビアの言葉で“モーシ・オワ・トゥーニャ(雷鳴とどろく水煙)”と呼ばれます。雨季には水の落下地点から立ち上る水煙が800メートルの高さにまで上がり、20キロメートル先からでも見えるそうです」
■マダガスカル「ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区」
“ツィンギ”とは、マダガスカル語で「先のとがった」という意味。広大な石灰岩台地が雨や地下水などで浸食され、長い時間をかけて鋭くとがった岩山へ変貌した。
「人間が住めない場所ゆえに、キツネザルやアイアイ、ネムールといったサルたちの楽園になっています。マダガスカルでしか見られない動物が見られる貴重な場所でもあります」
【アフターコロナ編】
■イタリア「ヴェネチアとその潟」
昨年3月、イタリア全土でロックダウンが行われ、移動制限に加えホテルや飲食店などが閉鎖。ヴェネチアでも年間3,000万人いた観光客が皆無に。しかし同時に、観光客が出すゴミや水上の交通汚染もなくなり、運河の水質が劇的に改善。市ではこの経験をもとにサステナブルな観光への見直しを始めた。
■ヨルダン「ペトラ遺跡」
断崖絶壁に囲まれた狭い道を通り抜けてたどり着く砂岩遺跡群。海外からの観光客が途絶えたことを機に、料金を巡る観光客とのトラブルや事故が多発していた観光馬車を定額の電動車へ変更する改革に乗り出した。しかし、「馬車は伝統」「仕事がなくなる」と地元のベドウィンが反対。調整に苦慮している。
■オーストラリア「フレーザー島」
長さ123キロメートル、幅24キロメートルの大きさを誇る世界最大の砂島。昨年10月、日本でもコロナ禍でブームとなったキャンプの火が原因で森林火災に発展。強風や熱波という気象条件も重なり、6週間以上も延焼した。火災被害面積は8万5,000ヘクタールを超え、オーストラリア固有の動植物が見られる森が失われた。
■日本「金閣寺」
昨年12月、長年にわたって雨水や鳥害などで傷んできた舎利殿のこけらぶき屋根を18年ぶりにふき替えた。コロナの影響で参拝者が減少していたこともあり、急きょ昨年9月に前倒しで工事を開始。約4カ月で、2層と3層の屋根部分のサワラ板を約10万枚取り替え、屋根上の鳳凰の金箔も張り替えて、明るい屋根に刷新された。
【シン世界遺産編】
■奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島
■北海道・北東北の縄文遺跡群
■モンゴル・鹿石
新たな世界遺産の登録について話し合うユネスコの世界遺産委員会が7月16日から2年ぶりにオンライン開催される。それに先立ち、諮問機関が各国から推薦された“世界遺産候補”を調査。
日本からは「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」「北海道・北東北の縄文遺跡群」が登録にふさわしいとの勧告を受けた。
「順当にいけば、この2つは世界遺産に登録されます。7月の正式発表が楽しみです。国外では、文化遺産への登録を目指すモンゴルの鹿石に注目。円形、巨石という部分がストーンヘンジや北東北の縄文遺跡群の1つ、秋田の大湯環状列石と共通していて興味深い。時代や場所を超えた接点が何かあるのではと、そんなつながりを想像するのも面白いです」