《電力大手10社は、11月の家庭向けの電気料金を全社値上げする見通し》
9月16日、新聞各社が電気料金の値上げを報じた。各社月額で100円程度のアップだが、この1年でいったい何度この報道を目にしたことだろう。ファイナンシャルプランナーで消費生活アドバイザーの丸山晴美さんが解説する。
「家庭向けの電気料金は’11年の東日本大震災以降、火力発電にシフトしたことで値上げの傾向にありました。それに加え、今年は火力発電の燃料となる液化天然ガスや石炭などの輸入価格が軒並み上昇していることから、値上げが続いています。さらに今年5月からは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを普及させるために、毎月の料金に上乗せされている『再エネ賦課金』が、標準的な家庭で1,000円以上課されています」
電気代は、この1年でじつに20%近くも値上がりしている家庭もあるのだ。
■この冬は電力が不足する懸念も……
とりわけ、新型コロナウイルスの影響で在宅ワークが増えているうえ、到来が予想される感染拡大第6波で再びステイホームの時間が長くなる可能性も。家で過ごすことが多くなれば、それだけ電気代もかさんでしまうことに。さらに、今年の冬は電力不足も気がかりだという。
「今年5月に、経済産業省は“夏と冬に電力需給がひっ迫する可能性”があることを発表しています。今夏については、電力各社が電力を融通し合って乗り切れましたが、脱炭素社会への流れから火力発電所が縮小傾向にある今年の冬は、電力の供給が不安定になることが予想されています。最悪の場合はブラックアウト(停電)や計画停電などが行われてもけっしておかしくはありません」(丸山さん・以下同)
値上がりし続ける電気代に、ひっ迫する電力需要。ただでさえ何かと物の値段が上がっているというのに……。
「電気代に限らず、穀物価格が高騰し、食品の価格も軒並み値上がりしています。その一方、所得は上がっていないので家計を守るのは大変。しかし、電気代についてはまだやりくりする余地がある家庭が多いです。特に冬は暖房や照明を使用するので、どうしても電気代が上がりがち。少しの意識を変えるだけで、電力消費を抑え、節電につなげることが可能です」
家計を守るための、冬の電気代の削減ポイントを丸山さんに教えてもらった。冬本番を迎える前に、ぜひ見直しておこう。