撮影者を威嚇するスズメバチ(撮影:上野高敏) 画像を見る

日本でもっとも危険な生物が、最凶の時期を迎えている。

 

9月11日午後、福井市にある一乗城山で登山客8人がスズメバチに刺される被害があり、市の担当者が以下のように語っている。

 

「長野県から訪れていた男女21人のグループがスズメバチに襲われ、男性7人、女性1人が刺され、60代の男性が重いアレルギー反応のアナフィラキシーのためヘリで搬送、残りの7人は自力で下山しました。刺されたのは、腕や顔、なかにはお尻など。あとから調べてみたら、なんらかの原因でスズメバチの巣が壊されており、興奮状態のスズメバチがいるところに、登山グループが通りかかって被害にあったようです」

 

■巣を守る働きバチが一年で一番ナーバスになる秋

 

秋の行楽シーズンを迎え、山里に出かける機会が増えるが、注意してほしいのはスズメバチがもっとも攻撃的になる時期であること。23日には大分県で駅伝大会の練習をしていた高校生22人がスズメバチに刺され、予定していた駅伝大会が中止になるという事件も起きている。

 

「夏の終わりから秋にかけて(9月から11月)は、スズメバチにとってもっとも大事な時期です」

 

とは、ハチの生態に詳しい、九州大学准教授の上野高敏先生。

 

「春、たった1匹の女王バチが働きバチを頑張って増やし、秋口には巣がもっとも大きくなリマスります。巣では次の世代を担う新しい女王バチと交尾相手の雄バチが、子孫を作るために繁殖の準備をしている真っ最中。巣を守っている働きバチはかなりナーバスになっているのです」

 

山歩きで注意が必要なオオスズメバチ、人の生活圏に巣を作るキイロスズメバチやコガタスズメバチなど、日本には数種類のスズメバチがいるが、どれも秋は攻撃的になる。

 

「とはいえ、巣に石を投げたり、棒で突っついたりするなどしない限り、向こうから襲ってくることはめったにありません。この時期に刺されるのは、多くの場合、巣があることに気づかずに接近したりして刺激してしまうから。おまけに行楽シーズンともなると大人数が巣の近くを通るため、巣に伝わる振動などの刺激が大きくなり、スズメバチの警戒レベルをすでに上げています」

 

■原則は、不用意に巣に近づかないこと

 

「ハチは、巣を攻撃しようとする敵を見つけたときに、いきなり攻撃してくる場合もありますが、たいていは敵の周囲を飛び回わるなど警告行動をとります。行楽シーズンになると大人数でハイキングや遠足中は、みんなでおしゃべりに夢中になって警告行動を見落としてしまう可能性があるのです」

 

次ページ >白い帽子をかぶっていればスズメバチに刺されにくい

出典元:

WEB女性自身

【関連画像】

関連カテゴリー: