19年9月、千葉県南房総市、令和元年房総半島台風による断水で給水所に列をつくる住民ら(写真:共同通信) 画像を見る

日本列島を次々に襲う災害――。全国、いつ、どの地域で停電が起きてもおかしくはない。酷暑でも生き延びるために、各家庭で必須の対策とは? 危機管理の専門家が徹底解説する。

 

連日、40度近い酷暑が続くなか、16日、最大瞬間風速60mの猛烈な台風7号が、関東地方に最接近し、暴風や大雨による大きな被害をもたらした。

 

今夏は台風やゲリラ雷雨だけでなく、日常生活を脅かす災害が日本列島で頻発している。8日、九州・日向灘沖で最大震度6弱の地震が発生。翌9日には、神奈川県西部でも震度5弱の地震が起きた。

 

気象庁が、南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)を初めて発表したことから、国民の災害に対する危機意識が高まっている。

 

このような暑さの中で、もし突然の停電が起きたらどうすればいいのか。いま、不安に駆られている国民も多くいるはずだ。

 

「猛暑の中で、停電になればエアコンなどが使えなくなり、熱中症になる危険が高まります。そうなった場合、自宅にあると非常に助かるのが『ポータブル電源』です。 このほかにも、太陽光で充電できる『ソーラー扇風機』、携帯タイプの『ハンディファン』『ネッククーラー』など、防災用品として事前に準備しておくことで、停電時の暑さ対策になります」

 

こう語るのは、危機管理アドバイザーで、防災対策に詳しい危機管理教育研究所の国崎信江さんだ。

 

“ポータブル電源は高価なので買えない”という人には、3千円程度から購入できるソーラー扇風機をおすすめしたい。本体にLEDライト、USBポートが付いているタイプが多いので、熱中症対策だけでなく、夜の照明やスマホの充電にも重宝する代物だ。

 

ほかに停電で困るのは、冷蔵庫が使えなくなること。だが、アウトドア用の大型クーラーボックスを備えておけば、かなりの時間は代用できる。

 

「日常的に保冷剤を冷凍室に多めにストックしておきましょう。できればホームセンターや通販サイトで購入できる、長時間溶けにくい保冷剤をおすすめします。

 

また、保冷剤の代わりにもなる、“チューチュー”のような棒状アイスも冷凍室に多めにストックしておくと便利です。アイスとしても食べられるし、溶ければ飲料にもなります。停電の際、これらをクーラーボックスに入れて、食料品などを保存しましょう」(国崎さん、以下同)

 

日中の暑さがとくに厳しいときは、室内で過ごすのではなく、自家用車があれば、エアコンの効いた車の中で過ごすことを推奨する。

 

「とくに高齢者の場合は、十分な水分補給ができないこともあるので、熱中症になる危険性が高くなります。日中だけでなく、夜も車の中で寝るなどの対策を講じることが命を守る行動となります」

 

非常時に備え、ふだんから車の燃料は満タンにする意識を持っておくことも必要不可欠だ。

 

2019年9月、千葉市付近に上陸した「令和元年房総半島台風」では、関東地方を中心に約93万戸が2週間以上にもわたり停電した。

 

自然災害による被害で、最も生活で困るのは、停電や断水といったライフラインの途絶である。そうなった場合、少しでも苦難を乗り越えるためには、平時からの“備蓄”がものをいう。

 

そこで国崎さんに、停電、断水が起きたときに備え、日常的に備蓄しておくものをアドバイスしてもらった。

 

「まず、飲料水の確保は必須です。ミネラルウオーターは、1人1日3Lを目安に10日分用意することを推奨します。それからジュースや炭酸飲料水など、自分が好きな飲み物を箱買いし、ふだん飲みしながら、なくなれば再度ストックしていく“幸せ備蓄”をおすすめします」

 

断水に備え、常に生活用水を確保しておくことも重要だ。

 

「浴槽に水道水をためておくと、トイレ排水などに使用できます。そして空きペットボトルにも水をためておきましょう(水は数日おきに入れ替える)。フタにキリなどで10カ所程度穴を開け、逆さまにすれば、断水時に手洗い、シャワーなどの代用としても使えます。使用後は穴の開いていないフタに付け替えて保管するといいでしょう」

 

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