親にもしものことがあったり、認知症になったりすると、困るのは子ども世代(写真:PIXTA) 画像を見る

実家を片付けたいという要望が、私の肌感覚では10年前の10倍くらいに増えている気がします」

 

そう話すのは片づけアドバイザーで、『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える!実家片づけ』(ダイヤモンド社)の著者、石阪京子さんだ。「実家の片付けを先延ばしにしているうちに親が亡くなると、最悪です」と警鐘を鳴らす。

 

不動産関係の書類のありかがわからなければ、相続の手続きが進まない。実家を売却しようにも、権利書がないとすぐには売れない。

 

親が加入している保険を知らなければ、保険証券を探すことすらしないだろう。せっかく親が保険料を納めていても、請求しなければ保険金は受け取れない。

 

なにより片付けのために、家事や仕事の都合をつけて実家に通わねばならない。時間も手間も、交通費だってバカにならない。

 

自分では無理だと遺品整理業者に依頼したら、「何十万円もかかった」という話をよく聞くそう。

 

「実家を片付けないと困るのは子どもです」(石阪さん、以下同)

 

実家の片付けでもっとも重要なのはお金や財産に関わる“金目の紙”だという。冒頭のトラブルもおもな原因は金目の紙が見つからないことだ。ただ、高齢者は自分の記憶力に自信がないため「とりあえず取っておく」人が多い。だから、紙がどんどん増えて、実家は紙だらけになっていく。

 

もし親が認知症になったら、預金口座などを凍結される恐れがある。対応策を考えるためにも実家の紙片付けは必須だが、始める前に紙片付けの目標を確認しよう。

 

【1】親の資産の把握

資産が把握できていれば、介護が始まってもその費用は親の資産から捻出し、子どもが肩代わりすることを避けられる。子どもにとっては大きな安心感になる。

 

【2】不動産関係など重要書類の確保

重要書類があちこちバラバラに収納されているケースが多い。大切な書類を1カ所にまとめよう。

 

【3】ファイリングシステムをつくる

親自身が紙を整理できないとスッキリは持続しない。ファイリングシステムは簡単なものにしよう。

 

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