「親の介護」申請しないと損するお金8選!おむつ購入で7000円、パート休んでも給料7割保証の「介護休業」制度も
画像を見る 介護休業の取得は雇用保険への加入などの要件を満たせばパートでも受給可能(写真:ふじよ/PIXTA)

 

■デイケアなどが確定申告の医療費控除の対象に

 

とはいえ、介護が始まるとお金がかかる。介護保険サービスの費用だってばかにならない。

 

「介護保険サービスの利用者負担(1~3割)は、所得によって上限が決まっています。これを『高額介護サービス費制度』といい、上限を超えて払った分は、申請すれば返金されます」

 

父親は他界し、専業主婦だった母親が、住民税非課税世帯で老齢年金収入等が80万円以下というのはよくあるだろう。このケースでは母親1人の介護サービス費は月1万5千円が上限だ。たとえば要介護2で在宅の介護サービス費を月2万円近く払う人は、約5千円の返金が受けられる。介護費の負担を抑えられる制度だ。

 

「高額介護サービス費制度に該当する人には、自治体から書類が届きます。必要事項を記入などして返送。1度手続きすれば、それ以降の該当月は自動的に指定の口座に振り込まれます。

 

ただ高齢者の家に届くので、手続きできず放っておく人もいるでしょう。帰省の折には、郵便物などもチェックしてください」

 

さらに、入院などで医療費も介護サービス費も高額になり、それぞれの自己負担の合算額が著しく高額だった場合は「高額介護合算療養費制度」が利用できる。年間の負担上限が年収などにより決まっていて、上限を超えた金額が払い戻される制度だ。

 

「これほど高額になる人は少ないと思いますが、セーフティネットがあることは覚えておきましょう」

 

今年も確定申告が近づいてきた。実は、介護保険サービスにも「医療費控除」の対象となるものがあるという。

 

医療費控除とは、対象となる医療費や薬代などが年10万円を超えるなどした場合、超過分が課税対象所得から差し引かれ、還付金として戻ってくる制度だ。

 

「在宅介護では、訪問看護や訪問リハビリテーション、デイケアと呼ばれる施設に通ってのリハビリテーションといった医療系のサービスなどが医療費控除の対象です。

 

また、訪問介護やデイサービスなどの福祉系サービスも、医療系サービスと合わせて利用した場合、医療費控除が受けられることも」

 

ただし該当する費用の半額が対象という場合もあり、すべてを把握するのは難しい。

 

「介護保険サービスの領収書の下のほう、合計額の近くに『医療費控除の対象額』が記載されています。これを合算して、医療費控除に利用してください」

 

柳澤さんは「介護のために仕事をやめないで」と力説する。

 

介護保険や雇用保険、自治体の補助、国の支援など、使える制度はすべて使い倒そう。経済的な負担を軽減して、親の介護を乗り切ろう。

 

次ページ >【一覧あり】自治体によるさまざまな補助

【関連画像】

関連カテゴリー: