蛍光灯の製造や輸出入は27年までに禁止となる。この際、LEDに取り換えてみては。実は安上がり(写真:siro46/アフロイメージマート) 画像を見る

「蛍光灯が製造中止? ウソでしょ。うちの照明はどうなるの?」

 

驚く人が多いだろう。だが、2027年末までに蛍光灯の製造や輸出入は禁止となる。「水銀に関する水俣条約」に基づき決まったことだ。

 

「国内メーカーの製造はすでに終わっています。在庫の販売はまだ続きますが、数が減って値段も徐々に上がっていくでしょう」

 

そう話すのは家電ライターの藤山哲人さん。蛍光灯に使われる水銀が原因で、製造や輸出入が終了する「2027年問題」といわれる。

 

家にはあちこちに蛍光灯がある。これをどうすればいいのだろう。

 

「LEDに取り換えましょう。LEDの消費電力は、蛍光灯の50%。付け替えれば、電気代が減りますよ」(藤山さん、以下同)

 

LEDは2つのメリットを持つ。

 

まずは消費電力だ。1日5~6時間点灯した場合、1年間の電気代は蛍光灯なら4千222円だが、LEDは2千111円と、半額だ。

 

もう一つは寿命の長さ。蛍光灯は6千時間で交換する必要があるが、LEDなら4万時間もつ。1日8時間使用したとすると、LEDなら13年以上もつことになる。

 

LEDと蛍光灯の10年間の費用を比べてみよう。

 

リビングによく使われるLEDシーリングライトを5千円で購入。もちろんLEDランプがついているうえ、10年間は交換の必要がない。電気代は年2千111円×10年=2万1千110円。購入費と合わせると約2万6千円だ。

 

いっぽうの蛍光灯は寿命が6千時間だから、1日8時間使用で750日。ほぼ2年としても、蛍光灯ランプは10年間で5回交換が必要だ。ランプを安めに見積もり2千円としても、5回の交換で1万円。加えて電気代は年4千222円×10年=約4万2千円。合わせると約5万2千円となる。

 

10年の総コストは、LEDだと蛍光灯の半額で済むことになる。蛍光灯は一刻も早く、LEDに替えたほうがお得なのだ。

 

「蛍光灯からLEDへの移行で、もっとも簡単なのは電球形です」

 

電球形はランプを付け替えるだけでよいという。口金のサイズが2種類あるのでよく見て購入して。

 

明るさは「ルーメン」という単位で表されるが、「○○W相当」という表示もあるので、現状と同じ明るさを選べばよい。

 

家に多いのは環形の蛍光灯だが、これもランプだけの交換でいい?

 

藤山さんは「それは危険!」と警鐘を鳴らす。NITE(製品評価技術基盤機構)によると、器具はそのまま、環形ランプだけ取り換えたことでLEDランプが溶け出したり、周辺を燃やす火災に発展する事故も報告されている。

 

「環形の蛍光灯はきちんと手順を踏めば、ランプだけの交換が可能な照明器具もあります。ですが、一般の人にはわかりづらい点も多く、事故が起きる危険性もあります。私は照明器具ごとの交換をおすすめしています」

 

器具ごとの交換なら、天井にある引っ掛けシーリングに接続部を差してぐるっと回すだけでOK。工事の必要もないし簡単だ。

 

「照明器具も家電製品ですから、寿命は10年程度です。それ以上使うと発火の危険性もありますから、この機会に取り換えて。LEDシーリングライトは以前より安くなっていて、10畳用が器具ごと5千円程度で買えます」

 

工事が必要なものは……?

 

「キッチンや洗面所などに多い直管形と、廊下や寝室などのダウンライトに多いコンパクト形は、電気店などに工事を依頼しましょう」

 

費用の相場は出張料として5千円、作業料は1台3千円、製品が1台2千円程度だそう。

 

「1カ所だけの工事だと1万円程度。ただ工事が何カ所あっても、出張料は5千円です。工事の依頼は家中まとめてがお得です」

 

なかには出張料無料や作業料が1台1千円という激安工事店もあるそう。探してみては。

 

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経済ジャーナリスト

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