「ボーナス支給や年越しの準備で、ふだんより多くの現金が自宅にある年末は、帰省や旅行で家を空けることも多く、侵入窃盗や空き巣に狙われやすくなる時期です。また、お正月休みになり人通りが少なくなった住宅街や道路ではひったくり事件が増えます。
いっぽうで、初詣や繁華街など人が集まる場所は、現金を持ち歩く人が多いためスリの格好の狩り場となります。結局、人とお金が集まる場所が狙われるのは当然の理屈です」
こう語るのは、元警視庁捜査官で、犯罪情勢にも詳しい日本カウンターインテリジェンス協会・代表理事の稲村悠さん。
そこで、窃盗犯に狙われやすい特徴を聞いた。
■1.年末年始の帰省時が狙われやすい《空き巣編》
【当分、家に帰ってこないことがバレバレの家】
帰省や旅行など、家を空けがちな年末年始は窃盗犯にとってもまさに狙い時。人の気配がない家は犯人も狙いやすい。誰が見ているかわからないSNSで「帰省中」とつぶやいたり、当分家にいないことがわかる合図を出さないようにしよう
侵入窃盗や空き巣対策には「侵入しにくい家を作ること」が重要。侵入しにくい家には次の4つの特徴がある。
(1)センサーライトや常夜灯など「光がある家」
(2)防犯アラームや防犯砂利など「音がある家」
(3)補助錠があるなど「侵入に時間がかかる家」
(4)周囲から見えやすいなど「人の目がある家」
「侵入する際に5分以上時間がかかると、犯人は諦めるというデータがあります。補助錠の設置や窓ガラスに防犯フィルムを貼るなどの対策は有効です。光・音対策にはタイマーで電気がついたり、音が鳴る防犯アイテムも出ています。また、防犯ステッカーも有効。これらは犯人を牽制する効果があります。ただし、昨今の強盗情勢を考えれば、最も効果があるのは、そもそも入られない環境を築くことです」(稲村さん、以下同)
【対策】
・洗濯ものなどを干して、すぐにでも帰宅する雰囲気を
・防犯ステッカーを貼り付ける
・補助錠の設置
・防犯カメラ、センサーライトの設置
・猛犬注意のステッカー
・踏むと鳴る砂利を敷く
・窓ガラスに防犯フィルムを貼り付ける
・侵入できる足場をなくす
・高い塀などをやめ中の様子をわかりやすくする
■2.年末セールや初詣の人混みで多発《スリ編》
【ほかのことに夢中になっているとスキがあると思われる】
初詣などの人混みで、バッグを背負ったままの人やポケットに財布を入れている人は要注意。かばんの開け口が開いていたり、買い物袋で両手がふさがり注意力が散漫になっていると「隙がある人」とみなされ、スリ犯の標的になる。人ごみではリュックを体の前にかけ、目を離さないようにする。
【対策】
・貴重品はバッグの奥にしまう
・人前で無闇に財布を取り出さない
■3.現金を持っている時期に狙われる《ひったくり編》
【正月休み前の金融機関帰りはチャンスと思われる】
年末は銀行やATM帰りを狙ったひったくりが増加する。店舗から跡をつけられ、人気のない場所で背後からバイクでひったくられるケースが多い。現金を持ち歩くときは荷物を建物側で持ち、かばんをたすき掛けにしよう。歩きスマホやイヤホンをやめて、周囲を警戒しながら歩くことが重要だ。
【対策】
・歩行時はカバンは建物側に
・自転車のカゴには防犯ネットを
画像ページ >【イラスト解説あり】年末年始の「空き巣」「ひったくり」「スリ」特徴と対策法(他2枚)
