《親の介護で借金地獄へ》50代を待ち受ける“悲惨リアル実例”4つ…プロの対処法は
画像を見る 介護は親の年金や貯蓄、親のお金でまかなうのが大前提。自分の家計や老後資金は確保して(写真:ペイレスイメージズ1[モデル]/ PIXTA)

 

Bさん(55歳男性)の母に介護が必要になったとき、Bさんは「介護は妻がしてくれるだろう」と安易に考えていた。だが、妻は「介護は実子が担うもの」と断固拒否。仕方なくBさんが介護することになった。

 

Bさんはケアマネと相談し、日中は介護保険サービスをフル活用。それでも、夜間などに、母一人子一人で育ったBさんを手伝ってくれる人はいない。Bさんは働きながらの介護に疲れ果て、当時会社が募集していた「早期退職優遇制度」に手を挙げた。

 

割り増し退職金を含め、Bさん宅の預貯金は約2千万円になった。ただBさんの子ども2人は大学生で、住宅ローンも返済中だったため妻は不安を口にしたが、Bさんは「介護はそう長く続かないもんだ。俺が最後まで介護する」と言い放ち、退職に踏み切ったのだ。

 

介護費用は、母の年金と貯金でカバーできた。だが、問題はBさん一家の家計だ。Bさんの退職後、一家には年120万円ほどの妻のパート収入しかなく、貯金を取り崩す日々。大学の授業料や住宅ローンで年間の赤字は400万円にのぼり、貯蓄は5年で底をついた。

 

結局、母の介護は8年続いた。途中で子どもが大学を卒業し家計は多少楽になったが、6年目以降は借金生活。最終的に借金は800万円に膨らんでいた。

 

Bさんは看取りまで介護をやり切ったが、正社員に戻る道は険しく、借金の返済は進まない。

 

【こうなる前に】

 

「最近はBさんの妻のように『介護は実子が担うもの』と考える人が増えています」

 

実際に介護を行う人に誰がメインで介護したかを聞いた調査では、「長男」「長女」「配偶者」と答える人が多く、「長男の配偶者」は6位だ(図参照、2023年、LIFULLsenior)。もはや「嫁だから」と介護を背負う時代ではなくなったのだ。

 

「Bさんのように夫が介護するのはよくあることですが、介護離職は絶対に避けたいです。働きながら介護する方法を探してください」

 

たとえば「育児・介護休業法」には残業免除の規定もある。会社の判断によるが、残業が免除されれば定時に退社でき、基本給は確保できる。日中は介護保険サービスを活用しつつ、妻もできる範囲でサポートして介護生活を乗り切ろう。

 

介護にもっと時間がかかるようになったら「短時間勤務」という制度も利用できる。

 

【こうなってしまったら】

 

すでに母も他界し、Bさん一家は800万円の借金を抱えてしまった。ただ、Bさんは一人っ子なので、母の遺産をすべて相続できる。預貯金の多くは介護に使ったかもしれないが、持ち家や資産価値のありそうなものを売却するなどして、遺産を現金化して借金返済の一部にあてよう。

 

また、Bさんは再就職口を探して、妻と共に少しでも収入を増やす努力を。それでも返済が厳しい場合は、自治体の家計相談などを利用して。

 

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