経済ジャーナリスト・荻原博子さん(写真:本誌写真部) 画像を見る

最近「推し活」を“推す”企業が増えています。福利厚生の一環として、活動費の支援や特別休暇などを設定するのです。

 

ゲームの制作会社「ジークレスト」は2017年12月から「推しメン休暇」を導入しました。イチ推しメンバーの誕生日やライブなど特別な日に、年に1度休暇が取れます。その際、活動費として最大5千円が支給されるのも◎です。

 

推し活コンサルティングを行う「ラブレター」には2022年12月から「推し活応援制度」があります。事前にライブやイベントのチケットを提示すれば、休暇が取得できます。さらに推し活遠征費として年1万円まで、推しの公式グッズ購入費として年1万円までを支給するという太っ腹です。

 

営業などの代行会社「アキュート」も2025年5月から月最大3千円の「推し活手当」を支給しています。利用後に推し活っぷりを写真で報告するのが決まりだそう。

 

活動費の補助より広まっているのは推し活のための休暇です。有給休暇は本来、旅行や趣味などリフレッシュ目的で利用してもいいものですが、「大切な用事がないと休みづらい」と感じる人も。推し活用と規定することで、取得のハードルは下がるでしょう。

 

■推しがいない人も作ってみるチャンスでは

 

手厚いのは映像制作を行う「ひろろ」。事前の申請で「推し休制」が取得でき、ゲリラライブなどで当日即早退も可能。また、推しの卒業や結婚など“ロス”には最大10日間の慶弔休暇がとれます。

 

ITシステムの開発会社「トラストリング」も“推しロス”に注目。アイドルはもちろん、2次元キャラクターでもペットでも、ロスに陥ったときに「推しロス休暇」が取得できます。しかも、突然起きた場合は当日申請でOK。

 

こうした休暇は、通常の年次有給休暇とは別枠としたうえで、有給とする企業が多いです。従業員にはうれしい制度ですね。

 

人件費や原材料費の高騰など、企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。2025年に倒産した企業は2年連続で1万件を超えました。なかでも人手不足倒産は過去最多を記録(2026年1月13日、東京商工リサーチ)。人材確保が課題という企業が多いなか、推し活の応援は、ニッチな分野に造詣が深い個性的な“オタク”人材を集める武器となるでしょう。

 

導入企業には推し活と親和性の高いゲームや映像制作、IT関連企業が多い印象ですが、北海道の「アリス保育園」でも年最大10日間の「推し休暇」が導入されています。園長が導入の理由を「人生を充実させ、働くモチベーションが向上するため」と述べていますが、私も大賛成です。推しがいない人も、推しを作ってみるチャンスかもしれません。

 

物価高が続き、政治は混沌としています。つらいことも多い世の中ですが、自分の「好き」を追求して生活を楽しみましょう。推し活を後押ししてくれる企業が、もっと増えてほしいものです。

 

【PROFILE】

おぎわらひろこ

家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数

 

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