■住居探しの壁
中高年になるほど新たな住まいを確保することは困難を極める。
「昨今の家賃上昇で、更新ができなくなり、引っ越しを余儀なくされるケースはよく聞きます。そのうえ、新しく物件を探そうにも、高齢女性の場合、孤独死や残置物を懸念し、物件を貸し渋るオーナーが多いのも実情です」
和田さんの取材でも当事者たちは「いつまでこの家に住めるのか」といった恐怖に苛まれている。
【共助の輪が広がるおひとりさま団地】
そんななか好事例として、大阪府の茶山団地は若者を巻き込んだ再生プロジェクトで活性化した。また、兵庫県尼崎市の市営団地はリノベーションされ、安価で単身女性に貸し出されている。共有スペースはおひとりさま女性たちの憩いの場になっているという。
「低所得・低年金で、入居するなら公営団地になります。団地内コミュニティーで見守り・助け合いの輪を広げ、安心した生活を確保しているケースがあります」
さらにシェアハウスの拡充と成熟にも期待したいところ。
「友人同士が集まって運営する仕組みは、誰かが欠けたら立ち行かないケースも。もっと組織的に運営し、見知らぬ者同士がルールを守り共生する基盤が整えば、今より利用しやすくなるでしょう」
■老後孤立の壁
最晩年をどう生きるかは、高齢おひとりさまにとっては最大の悩みどころ。たとえ今、配偶者がいても、先立たれればひとりになるのだから、決して人ごとではない。
「多くの人は仕事から離れると、コミュニティーに属さない状況にある。そんななかで人との“つながり”が明暗を分けることになる」と和田さんは分析する。
【差し伸べられた手を掴めるかが、カギ】
孤独死のイメージもあるおひとりさまだが、Bさん(享年78)のような、2回りも若い友人たちが入れ代わり立ち代わり世話をして、最後まで看取ったという羨ましいケースもある。
「困ったとき、差し出された手をつかめる人であれば、孤立しません。地域に知り合いがいなければ、ラジオ体操や地域の茶話会にまずは一度参加してみましょう。
地域の情報を得るには、行政の公式LINEアプリに登録すると便利ですし、地域包括支援センターでは、ひとり暮らしの人の食事会などの取り組みもしています。
もし、何もなければ小さくても自分で立ち上げるくらいの気力を保つこと、そこで得た生の情報と付き合いは生きるうえで大事です」
気力を失わず、つながり続けること、そこから見えてくる希望はあるということだ。
画像ページ >【写真あり】新著『中高年シングル女性』(岩波新書)が話題を呼んでいるライターの和田靜香さん(他1枚)
