「“米のミルク”ともいわれる甘酒は、ブドウ糖点滴と同じような成分で、消化吸収がよいのが特徴。江戸時代は夏場の栄養補給として、よく愛飲されていました。甘酒は、米の栄養が分解されていることに加えて、エネルギー代謝を助けるビタミンB群が豊富。素早く、効果的にエネルギーになります」
こう語るのは、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸先生。ビタミンB群は、皮膚の代謝もサポートしてくれるという。
「また、こうじに含まれる『コウジ酸』は、メラニン色素の過剰な生成を抑制。シミやくすみを防いでくれる効果も。甘酒は、美肌の“栄養”がつまっているのです。さらに、甘酒には食物繊維とともに『レジスタントプロテイン』という食物繊維と似た働きをするタンパク質が多く含まれています」
このタンパク質は、小腸を通り過ぎるときに、コレステロールなどの脂質を抱き込んで、体外に排泄してくれる。
「脂質を含んだ便は、スルッと出やすくなるため、便秘解消にもつながります。腸内細菌が大好物のオリゴ糖が多く含まれていることも甘酒の大きな特徴。腸内環境を改善し、自律神経のバランスを整えてくれるのです」
ちなみに甘酒には、酒かすに砂糖を入れたタイプと米こうじから作るタイプの2種類がある。小林先生はこの春から、3日に1度のペースで寝る前に60度くらいに温めた後者のほうを常飲している。
「飲み始めて感じるのは、深い睡りに誘われることと、疲れにくくなったこと。疲労回復の効果もあるようです。また、毎朝決まった時間に便意があることにも驚きました。ただし、甘酒はカロリーが高く、飲みすぎると肥満の原因に。また血糖値を急激に上げてしまうので、1日コップ1杯程度にとどめておくのがいいようです」