生活習慣が原因で、血糖値が高くなりすぎて下がらない2型糖尿病(以下・糖尿病)。戦後からずっと患者数が増え続け、’16年に初めて1,000万人の大台に乗った。予備群を含めると、2,000万人以上になる。もはや誰もが糖尿病になりうる時代なのだ。
「糖尿病で恐ろしいのが合併症です。人工透析が欠かせない腎不全や失明に至る網膜症、足の切断を迫られる壊疽、さらには動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気を引き起こすリスクが高くなります」
こう語るのは糖尿病専門医でAGE牧田クリニックの牧田善二院長。40歳以上の女性、4人に1人が予備群以上といわれる糖尿病。症状がないまま進行し、発病すると完治は難しい。次にあげる飲料は、どれも自販機やコンビニで売られている身近な飲み物だが、これだけの糖質量を含んでいる(メーカー表示より牧田先生による試算)。
■缶コーヒー・加糖タイプ(250ml)/1本あたりの角砂糖量は6.1個
■缶コーヒー・カフェオレタイプ(500ml)/1本あたりの角砂糖量は11.1個
■缶コーヒー・微糖タイプ(150ml)/1本あたりの角砂糖量は2個
■機能性ゼリー(180g)/1袋あたりの角砂糖量は11.2個
■100%オレンジジュース(800ml)/1本あたりの角砂糖量は24個
■サイダー(500ml)/1本あたりの角砂糖量は13.7個
■乳酸菌飲料(500ml)/1本あたりの角砂糖量は13.7個
■炭酸レモンジュース(500ml)/1本あたりの角砂糖量は12.6個
■野菜ジュース(200ml)/1本あたりの角砂糖量は3.7個
■スポーツ飲料(500ml)/1本あたりの角砂糖量は7.7個
牧田先生は、「これらは砂糖が溶けた液体で、糖尿病を招く飲み物と考えたほうがいいです」と警鐘を鳴らす。
「人間の体内には約4.5リットルの血液があり、そのなかに溶け込んでいるブドウ糖の量はわずか5グラム前後。砂糖が溶けた液体を飲むと、消化吸収のスピードが速いため、一気に血糖値が上がります。大量のインスリンで血糖を下げようとしますが、それを繰り返すことで、すい臓が疲弊していき、いずれインスリンを出せなくなってしまうのです」(牧田先生)
気がかりなのは、100%のオレンジジュースや野菜ジュースでも糖分が高いことだ。
「果物には果糖があり、野菜にも少しではありますが糖質があります。たとえば、オレンジならば、そのまま食べれば1個で満足できますが、ジュースで飲むとその数倍のオレンジを食べるのと同じことに。その結果、不必要な糖分をとりすぎてしまうのです」
飲み物は糖質を含まない水や日本茶、無糖のコーヒーや紅茶で。果物や野菜はそのまま食べるのがいいようだ。