「インド料理でよく使われるクミンやターメリック、日本人に身近なしょうが、七味唐辛子、など、好みのスパイスを納豆に振りかけるのが『スパイス納豆』です。優れた効能を持つ納豆とスパイスを組み合わせることで、その効能がパワーアップするんですよ」
そう教えてくれたのは、薬剤師・国際中医師の大久保愛先生。
漢方の考え方では、スパイス納豆の効能は(1)補気、(2)補腎、(3)活血、(4)痰湿除去の4つに分類できるそう。
(1)補気
元気の源である「気」が不足すると、あらゆる不調につながる。代謝や免疫の働きを担う気を補えば、感染症予防にも。
「上質なタンパク源の納豆は、糖質の代謝を促進するビタミンB群が豊富に含まれます。代謝アップにより、気を補い、体の調子を整えます」(大久保先生・以下同)
(2)補腎
納豆は腎機能や成長・発育・生殖に関わる「腎」を助ける作用も。
「腎の衰えは老化現象につながります。納豆に含まれるレシチンには記憶力の低下予防や整腸、抗菌殺菌効果が。ビタミンK2には骨タンパク質の働きや骨形成を促進し、骨粗しょう症を予防。老化現象の予防改善が期待できますよ」
(3)活血
血の流れ、体の巡りをよくする働きが「活血」だ。納豆には血栓を溶かす酵素・ナットウキナーゼが含まれ、血液がサラサラになり、血流が改善する。
(4)痰湿除去
スパイスの特に重要な作用は、体内にたまった老廃物や有害物質を体外に排出すること。
「スパイスには抗酸化作用、抗糖化作用、抗炎症作用、抗菌作用などの働きが。納豆も抗酸化物質に加え、腸から老廃物の排出を促す食物繊維を含む発酵食品であり、相乗効果でデトックスになります」
体内でくすぶる慢性炎症が生活習慣病や動脈硬化などの原因にもなる。スパイス納豆を食べれば慢性炎症もリセットでき、体がスッキリ軽くなりそうだ。
そこで今回、大久保先生がさまざまな症状の改善が期待できる、手軽でおいしい「スパイス納豆」のレシピを紹介。
大粒やひきわりなど納豆の種類はさまざまだが、ここでは小粒50グラムを使用。スパイスは容器から3振りほどの量が目安だが、好みの量でOK。付属のタレや醤油、アマニ油やオリーブオイルなどを少量加えても。
【大葉+梅干し】夏バテ対策
〈材料〉:大葉…2枚、梅干し…1個
〈効能〉:大葉には皮膚や粘膜を正常に保つβカロテン、肌荒れ改善やタンパク質の代謝を促進するビタミンBが豊富。クエン酸豊富な梅干しは疲労回復、食欲増進効果もあり、熱中症や夏バテ対策にも。腸内環境を調整し、便秘解消も期待できる。
文句なくおいしくバランスのよい組み合わせ。大葉の爽やかさと梅干しの酸っぱさが上品にマッチする。