「原油高に、ウクライナ情勢、コロナ禍による世界的な食品需要の変化、そして円安など、さまざまな要因でインフレが起き、家計を苦しめています」
節約アドバイザーの丸山晴美さんが語るように、モノの値段が急激に上がっている。物価の推移をあらわす消費者物価指数は昨年と比べて2.4%の上昇だ(2021年6月と2022年6月の比較)。
特に顕著なのが食料品。昨年と比べて、じつに3.7%も高騰しているのだ。家計調査によると、昨年の食料品に対する支出額は月80793円(世帯主が50代の家庭の平均支出金額)。昨年と同じ消費行動をとった場合、物価の高騰によって月83782円の支出と、約3千円も支出が増えることがわかった。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんが言う。
「日常的によく使用する食材ごとの価格の上昇率や相場価格を把握しておけば“安い食材で代替する”“高い食材は特売の日にまとめ買いする”など、家計を守るための対策ができます」
現在のおすすめが、コメを中心にした食生活だ。
「米の自給率はほぼ100%。輸入品よりも物流コストが格安なので、価格が安定しています。一方、輸入に頼っている小麦粉は、ウクライナ情勢や円安要因も合わさって高騰している。それにともない小麦を材料にしている食品も上がっています」(丸山さん)
物価上昇率はパンが8%、パスタ14.2%、カップ麺11.1%と高水準(6月時点、以下同)。朝から米を食べる頻度を増やしたほうがいいだろう。
■肉は鶏肉を中心に
魚介類の1カ月の物価は、この1年間で10.8%増。とくに食卓に身近なマグロ、サケ、タコはそれぞれ17%台の増加だ。
「輸入している魚が輸送コスト増によって値上がりするのは当然のこと。国内で取れる魚も漁船の燃料費などが価格に影響を与えています。また中国での需要も高まっているため、今後も値上げ傾向が続くでしょう」(柏木さん)
肉類の中では、物価上昇が顕著なのが牛肉(5.9%増)だ。
「国産牛はコロナ禍で飲食業界の需要が減ったこともあり、前年比0.9%の上昇率にすぎません。しかし手ごろな輸入牛肉の値上がり率が13.5%と大きく、国産牛の価格に近づいています」(柏木さん)
牛肉はぜいたく品と割り切って、国産牛を特別なときに食べる。ふだんの食事は価格が比較的安定している鶏肉を中心としたレシピにしたほうがいいだろう。