「4月24日に発表された有識者グループ・人口戦略会議のレポートで、少子化によって2050年までに、全国の市区町村の4割にあたる744もの自治体に“消滅可能性がある”と報告されました。
将来的に、路線バスなどが廃線になり、買い物難民になったりと、満足な行政サービスが受けられなくなる可能性が指摘されています。
また、医学が発達して長寿化すれば、医療や介護の期間も長くなります。その一方で、赤字体質の自治体では病院が閉鎖されたりすることもありえます」(全国紙記者)
こうした人口減少問題のなか、さらに注目すべきは、高齢独居女性が増えるという試算だ。
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計」によると、単独世帯の割合は2020年の38%から2050年には44.3%に上昇するという。
さらに同調査では、2020年から2050年までに、高齢単独世帯における未婚率が、女性の場合で11.9%から30.2%に増えるなど、近親者がいない高齢単独世帯が急増することを示唆している。
貧困問題を研究している、神奈川県立保健福祉大学准教授の吉中季子さんが警鐘を鳴らす。
「高齢のおひとりさま女性の貧困率が、非常に高いのです。東京都立大学子ども・若者貧困研究センターの阿部彩教授がまとめた『相対的貧困率の動向(2022年調査update)』によると、65歳以上の単独女性世帯の貧困率は44.1%。じつに2人に1人に近い人が、貧困に陥っているという結果です」
ここでいう貧困率とは、相対的貧困率のこと。
「全世帯員を考慮して計算した可処分所得(手取り)の中央値の半分が貧困線です。厚労省によると、2021年の貧困線は127万円です」
厳しい現実がつきつけられるが、現在50歳の女性が75歳になる2050年には、どのように生活環境が悪化するのだろうか。