「朝にサプリメントを飲んだかどうかわからなくなってしまった」
「おとといの夜、何を食べたか、もう思い出せない」
記憶の衰えを実感するたび、「もしかしたら認知症かもしれない」とあせる読者世代は多い。
「日常生活のなかで、物忘れや忘れ物があまりにも増えてきてしまったため、病院に行くか悩んでいる人もいるでしょう。
でも安心してください、忘れたことを自覚しているケースは認知症ではありません。ただ『スマホ認知症』にあてはまる可能性があります。
一日中スマホを手放せない、絶えずSNSをチェックしているという人がたくさんいます。
脳が休まることがなく、膨大な情報量が入ってくるため大切な情報が取り出せなくなってきて、さまざまな症状を引き起こす、これをスマホ認知症と呼んでいます」
そう語るのは、全国初オンライン「スマホ認知症外来」を開設した金町駅前脳神経内科の内野勝行院長。内野院長によると、日本人のじつに1千万~2千万人がスマホ認知症の可能性があるという。
■情報の洪水で脳がパンパンになってしまうのが原因
通常の認知症とは何が違うのか?
「アルツハイマー型認知症は、何らかの原因で、アミロイドβというタンパク質が脳内にたまり、神経細胞が破壊されて脳が萎縮することで記憶しにくくなる状態をいいます。これに対して『スマホ認知症』は、スマホを見続けることで膨大な情報量が脳に入り、取り出したい情報が取り出せなくなる状態をいいます。病名ではありません」(内野院長、以下同)
休憩時間など、本来は脳を休めることで情報が整理されるべき時間に、だらだらと無目的にスマホを見続けることが問題だという。
絶え間なくインプットされ続け、情報の洪水で脳がパンパンになってしまい、記憶のアウトプット障害が起こるのだ。
