久しぶりの同窓会。若く見える人もいれば、老けて見える人もいる。ミドルエージにとって問題なのは、もはや美人かどうかではなく、見た目年齢である。そして、その見た目年齢を分ける要因は、ズバリ「肌」だ。
「40代以降は『くすみ』に悩む人が急激に増えるなど、ほとんどの人がなんらかの肌悩みを抱えているものです」
皮膚科医の小林智子先生はこう指摘するが、女性ならば「いつまでも若々しくきれいでいたい」と思うもの。高価な基礎化粧品を使い、毎晩の保湿パックを欠かさないなど、努力している人も多いのではないだろうか。
だが、医学的な立場から、美肌と食事に関する情報を発信する小林先生が重視するのは、実は意外なものだった。
「美肌のためには、私はなにより“インナーケア”が重要だと思っています。体を内側からきれいにするには、1日3度の食事を見直すこと。それが美肌への近道です」
いまはお肌ツルツルの小林先生も、実は長い間、肌の乾燥に悩まされていたという。
「冬には頬に粉が吹くくらいの乾燥肌でした。でも、必要な栄養素をきちんと取るようにしたら、だんだん乾燥が落ち着いてきました」(小林先生・以下同)
食事による肌悩みの解消を、先生自身が身をもって経験したというわけだが、肌悩みを抑えるために必要な栄養素とは、いったいどんなものなのだろうか?
「トラブルの種類にもよりますが、乾燥を抑えるにはタンパク質が大切です。ただ、タンパク質は生命維持に関わる部分から優先的に使われますから、肌の潤いを保つ『天然保湿因子』など肌の細胞にまで行き渡らせるには、たくさんのタンパク質が必要です。忙しい日の朝食はパンとコーヒーという人がいるかもしれませんが、それではタンパク質が足りません。卵や納豆、豆腐、チーズなど手軽に食べられて、肌悩みに効く“おクスリ食材”を、もっと利用するといいと思います」
ミドルエージの肌悩みは、ほかにどんなものが多いのだろう?
「しみやしわ、たるみでしょうか。原因はさまざまですが、糖化によるダメージが大きいでしょう。食事で取りすぎた糖は、タンパク質と結合して糖化を起こし、AGEs(終末糖化産物)を作ります。このAGEsはさまざまな病気の原因になるだけでなく、肌にも悪影響を与えます。コラーゲンが変性して弾力やハリが失われたり、肌のバリア機能が落ちてキメが低下したり。これらにも糖化が関係しています」
さまざまな肌トラブルに直結してしまう糖化を防ぐ手立てはないのだろうか?
「血糖値の急上昇を抑えるのが効果的で、GI値の低い食品を取るのがおすすめです」
GI値とは、その食品を食べたとき、どれくらい血糖値が上がるかを示す指標のこと。精製されていないもののほうが消化吸収に時間がかかるため、GI値が低いという。炭水化物であればうどんよりそば、白米より玄米のほうが低GIの食品となる。
「私は低GIで調理も簡単なオートミールをよく食べます。オートミールに卵スープのもとをのせ、お湯をかければ卵雑炊のできあがり。忙しい朝にはもってこいです」
オートミールに含まれるおもな栄養成分は炭水化物だが、タンパク質や食物繊維が豊富で、カルシウムやビタミンB群、鉄分や亜鉛などのミネラルも多く含まれる優れものだ。