マスクに始まり、除菌グッズ、トイレットペーパー、乾麺……。新型コロナウイルスの影響を受け、品薄や価格高騰で入手困難となった商品はあとを絶たない。
次いで今、店頭から姿を消しつつあるのが、小麦粉やホットケーキミックスなどの“粉もの”だ。これは“ステイホーム”が求められるなか、家でパンやお菓子を作るという消費行動が急増したのも一因。この現象はしばらく続くと考えられている。
だからといって気落ちする必要はない。いつもの粉を使わずとも、「生の米」さえあれば、最高においしいパンがいとも簡単に作れてしまうのだ。
今まで米粉を使ったパンはあったが、これは生米100%で、しかも卵や乳製品も不使用。三大アレルゲン(小麦、鶏卵、乳製品)をいっさい含まないため、これらにアレルギーをもつ人も、グルテンフリーを実践する人も、安心して口にできる。
レシピ考案者であるリト史織さんも、出産後に発症したアレルギーに悩まされたひとり。しかし、小麦粉を使わないなど食生活を変えたところ、徐々に症状が改善されたという。
「このとき、食と体は確実につながっていると実感しました。でも私は、健康と同じくらいおいしさも大切にしたくて。生米パンの開発にあたり、モチふわ食感が際立ち、お米の甘みとうまみがしっかりと感じられるような配合にこだわりました。また、このパンは生米をその場でくだいて生地にするので、一般の粉類よりも酸化しづらいといえます」(リト史織さん・以下同)
■基本の生米パン
<材料>1/3斤食パン(16.5×6.2×6cm)1台分
・A=米…115g(浸水済み150g)、好みの油…13ml(大さじ1)、メープルシロップ…8ml(小さじ1)、塩…2g(小さじ1/2弱)、湯(約50度)…70〜75ml
・酵母…3g
<作り方>
【1】軽く洗った米をボウルに入れ、水1カップ程度(分量外)を加えて2時間以上ひたす。
【2】型にオーブンシートを敷く。
【3】米をざるに上げ、しっかりと水けを切る。※水けが残っていると、生地がやわらかくなりすぎるので注意。また、乾きやすいのでミキサーに入れる直前に水けを切る。
【4】Aをミキサーに入れ、少し温度が下がったところで酵母を加える。
【5】ミキサーを30秒ほど回しては止める動作を3〜4回くり返す。途中、ミキサーの側面に飛び散った生地をゴムベラでこそぎ落とし、全体を均一に攪拌する。
【6】生地を型に流し込む。乾燥はヒビ割れの原因になるので、霧吹きで表面全体に水を吹きかけ、ふたをする(アルミホイルで覆ってもよい)。
【7】40度に熱したオーブンに入れ、15〜20分発酵させる。
【8】生地がもとの1.5倍ほどにふくらんだらオーブンから取り出し、室温においておく。オーブンを180度に予熱し始める。※予熱している間に発酵がさらに進む。
【9】予熱が完了し、生地がもとの2倍ほどにふくらんだら、焼く直前に霧を吹き、30分焼く。
【10】表面にこんがり焼き色がついたらオーブンから取り出す。粗熱がとれたら型から出す。
実際、食してみた生米パンは、軽い口当たりともちっとした食感を存分に楽しんだあと、口の中ですっととろけた。代用品などではけっしてなく、今日も食べたい! と手を伸ばしたくなるパンなのだ。また、米という素材ゆえ、合わせる食材を選ばないのも大きな魅力。
「きんぴらごぼうやひじきの煮物をはさめば、立派な献立になりますし、あんこやバター、ジャムならおやつにも。さらに、野菜やナッツ、さつまいも、雑穀、黒ごまなどを生地に練り込んで焼く、ヘルシーなアレンジも可能です」
材料不足を気にせず、手軽に作れる新しいおいしさにぜひ触れてほしい。
「女性自身」2020年5月26日号 掲載