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「昔から『風邪をひいたらネギを首にまけ』といわれるように、長ネギには抜群の健康効果があります。ところが、調理法次第で成分が変わるという特性があり、それを知らず、せっかくの効果を生かしきれていない人も多いんです」

 

そう話すのは、医学博士として、食材と健康効果の関係を研究している平柳要先生。下仁田ネギなどネギの産地として知られる群馬県で生まれ育った平柳先生は、以前から長ネギに注目。国内外の最新の論文を調べたところ、予想以上に多くの健康効果があることがわかったという。

 

「減量、感染症予防、血液サラサラ効果など、さまざまな作用があるんです。ただし、この作用を最大限に引き出すには、長ネギを斜め厚切りにして軽くつぶし、焼いて食べなければいけません」

 

複数の人にこの調理法で焼きネギを食べ続けてもらったところ、とくに血管年齢と高血圧改善に目覚ましい効果が表れたそう。39歳の女性はわずか1カ月間で血管年齢が66歳から39歳と本来の年齢に若返り、血圧も上が127mmHgから112mmHgに下がったという。

 

「長ネギの健康効果の秘密は『スルフィド類』と『フルクタン』という成分にあります。このうちスルフィド類は、斜め厚切りにして、軽くつぶすことで成分が増えるという特徴があるんです」

 

長ネギには、もともと「イソアリイン」という成分が含まれるが、切る、つぶすなどして細胞が破壊されると「イソアリシン」という成分に変化し、空気中に漂ってくる。長ネギを切ったときに感じる強いにおいの正体が、この成分だ。さらに、長ネギを加熱するとイソアリシンは健康効果をもたらすスルフィド類に変化する。

 

「長ネギを斜め厚切りにするのは、断面を広くして長ネギの細胞をなるべく多く破壊し、スルフィド類のもとになるイソアリシンをたくさん作るため。その後、軽くたたいて内部の細胞まで破壊することで、イソアリシンをさらに増やします。それならみじん切りにすればいいのでは? と思うかもしれませんが、イソアリシンは不安定で揮発しやすい成分なので、細かく刻むと逆に成分が減ってしまいます」

 

平柳先生おすすめの“斜め厚切り焼きネギ”の作り方は次のとおり。

 

(1)ネギを包丁で4センチくらいの斜め厚切りにする。斜め厚切りした後に表面を包丁の背でトントンとたたく。

(2)油をひいていないフライパンや平底鍋にのせて、中火〜強火で焼きつけるようにする。表面がきつね色になるまで熱し、反対面にも同様にきつね色をつける。

(3)焼き色がついたら火を止め、焼きネギに抗酸化作用のあるエクストラバージンオリーブオイルを注ぎ、ネギに油をまぶすようにあえてコーティングする。

 

一日に食べる量の目安は、11グラムで、長さにして約15センチ程度。長ネギの価格は季節によって変わるが、平均すれば1本およそ100円。15センチなら1日約40円と、お財布にも優しい健康法だ。

 

「たくさん食べても害はありませんが、一定量を毎日食べ続けることが大事です」

 

プチプラなのに効果絶大な焼きネギで健康な1年を過ごそう。

 

「女性自身」2020年2月4日号 掲載

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