栄養ドリンクに含まれることでおなじみの成分「タウリン」が、老化防止に効果を発揮してくれるかもしれないーー。
6月8日、米コロンビア大学などの共同チームが科学誌『サイエンス』で発表した最新の研究結果で、アミノ酸の一種「タウリン」について、マウスやサルなどの実験で「老化を防止する効果が得られた」とされたのだ。
「実験の結果、タウリンを与えたマウスは、与えなかったマウスに比べて10〜12%も長生きしたと報告されています。また、サルで行われた実験では、タウリンを摂取した群は骨密度が高く、肝臓の機能低下を示す物質が減るなどの結果が示された。今後、人の老化防止にも期待できるのではないかと考えられています」(全国紙記者)
同チームは、人体で効果がみられる摂取量を「1日3~6gと推計」している(読売新聞オンライン、6月9日付より)。
栄養ドリンクを飲めば、滋養強壮だけでなく若さも維持できるとなれば活用したいところだがーー。加藤プラチナクリニック院長で脳内科医の加藤俊徳先生は、このデータを受けて次のように話す。
「もともとタウリンは脳に不可欠な成分で、脳の発達を助け、疲労回復や目の疲れを取るなどの効果があることがわかっていました。ただし、『1日3~6g』という摂取の目安は、私たち日本人にはやや多いのではないかと考えます。『1日2g程度』を目安に摂取できればよいのではないでしょうか」
また、2g程度とはいえすべて栄養ドリンクから摂取しようとすると、カフェインや糖分などを含む製品もあるため、「取りすぎには注意が必要です」と加藤先生。
「タウリンはタコ、イカ、カキやホタテなど魚介類にも豊富に含まれています。たとえばタコ100gを食べれば、タウリン0.5gほどを摂取することができます」
加藤先生によれば、タコにはもう一つ老化防止に重要な成分が含まれているという。
「タウリンと同じく、脳の栄養素である『プラズマローゲン』をタコは多く含みます。このプラズマローゲンは、九州大学の研究で、摂取することで認知機能の改善がみられたという報告もあり、注目されているんです」
米国の先行研究では、アルツハイマー病の患者の脳はプラズマローゲンが減少していることを指摘しているものもあるそうだ。
「タコを適量食べることで、疲労回復や認知機能の改善が見込め、認知症予防の効果も期待できるのではないかと考えられます。また、タコは歯ごたえがあり、しっかり咀嚼しなければなりません。かむことは脳の働きの活発化にもつながると同時に、口腔フレイルを防止する効果もある。これも、老化防止の面でメリットになると言えます」
ただし、タコはプリン体も多く含んでいるため、「尿酸値が高めの方は食べすぎに注意しましょう」と加藤先生。いつまでも若々しさをキープするために、タコぶつをよくかんで味わってみてはいかがだろう。