蒸し暑さが夜まで続き、熱帯夜が増える季節。すでに寝苦しい日々を過ごしている人も多いだろう。
熱帯夜による睡眠不足は夏バテを引き起こすだけでなく、日中の体温調整にも影響を与え、熱中症のリスクも高まるという。
「こうしたリスクを避けるためにも、風呂はシャワーで済ませず、湯船にしっかりつかることが肝心です」
そう呼びかけるのは、25年にわたり4万人以上の入浴を調査してきた温泉療法専門医で東京都市大教授・医学博士の早坂信哉先生だ。
早坂先生によると、体内の深部体温が下がると、「睡眠モード」に切り替わり、眠気が訪れる。そのため入浴で一時的に体温が上がると、血管が広がり、血液が熱を放散しながら体内を巡るため、深部体温が下がりやすくなり、スムーズな入眠につながるという。
「夏は熱が体内にこもりやすく、体が火照った状態です。シャワーを浴びるだけだと体温を上げる効果が低く、深部温度が下がりにくいため、寝つきが悪く熟睡できないのです」(早坂先生、以下同)
「体温が高くなると、汗を出したり血管を広げて体の表面から空気中に熱を逃がしたりして体温を調整しますが、これができなくなると体内に熱がたまって体温が上昇し、熱中症になります。昼間だけでなく、寝ている間にも熱中症になる恐れが。
しかし、2週間ほど入浴を続けると、この研究結果のように体温調整をしやすくなり、暑熱順化といって暑さに強くなることで、熱中症になりにくくなるのです」 ただ、暑い日の入浴は汗が止まらなくなるので苦手という人や、体が火照ってしまい反対になかなか寝つけないという人もいるのでは。
「そういう方には、ぬる湯と呼ばれる38〜40度より低い、35〜38度と体温に近い不感温度で、かつ、みぞおちまでの少ない湯量で半身浴を行う『みぞおち浴』がおすすめです。
体温の上昇がゆるやかなので、湯上がり後に汗だくになることもありませんし、血圧や呼吸にあまり影響がない、体に負担のない入浴法なんです」
「みぞおち浴は、体温と同じか低いと冷たく感じる場合があるので、体温より少し高めの38度前後で、20分ゆっくりつかってください」