■オーラルフレイルかチェックリストで診断を
今年4月、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会の3団体が会見を開き、自分がオーラルフレイルの状態かどうかを5項目でチェックできるリスト「Oral frailty 5-item Checklist(OF-5)」を公表。
5項目のうち2つ以上に当てはまるとオーラルフレイルの状態と判断できる。
「高齢者の約4割がオーラルフレイルに当てはまるという調査もあります。介護の現場や医療機関の待合室などで歯科医療従事者以外でも判断できるようにリストを簡便にしました。2つ以上当てはまったら放置しないで、歯科医にかかることをお勧めします」
そうアドバイスするのは、チェックリストの作成に携わった東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科の平野浩彦部長。
「2018年には口腔機能低下症という疾病ができました。口腔内の環境や舌の力、咀嚼力、嚥下状態などをスコア化して判断するもの。『OF-5』チェックリストでオーラルフレイルと感じたら口腔機能低下症の検査を受けることが一般的になることを望んでいます。同時に、ふだんからできる口の体操で鍛えましょう」(平野部長)
■オーラルフレイルを防ぐ「ぶくぶく体操」と「パタカラ体操」
平野部長が患者に勧めているのは「ぶくぶく体操」。
(1)左頬に空気を入れてふくらませ、ぶくぶくと4回動かす。
(2)右頬、上唇、下唇も同様に4回動かす。
(3)最後に口全体に空気を入れてふくらませ、ぶくぶくと4回動かす。これを2回繰り返す。
唇や頬、呼吸の動きを高めるので、食べこぼしが改善され、口呼吸から鼻呼吸に改善されていくという。
宮本院長が勧める「パタカラ体操」は、誤嚥を防ぐための代表的な訓練。口・舌を鍛えて、食べる・飲み込む機能の向上を目指す。
「早口でパタカラ、パタカラと言うのではなく、一音ずつはっきりと発音するようにしましょう。『パ』は発音をするときに唇をはじくようにして、『タ』は舌先を上の前歯の裏につけるようにします。『カ』は舌の付け根を口蓋の奥につけるように、『ラ』はしっかりと舌を丸めるようにします。これを8回×2セット、3度の食事の前に行う習慣をつけて」(宮本院長)
口の健康は全身の健康につながる。毎日行い健康をキープしよう。