■腰痛が出ないこともあり気づかず放置している人も
変性すべり症の治療は保存療法が原則。湿布や消炎鎮痛剤で痛みを取り、痛みがひどい場合は、軽減させるコルセットを腰につけたり、神経や椎間板などへ「ブロック注射」を行ったりする。
「ただし進行すると、長時間の歩行ができなくなったり、歩行と休息を繰り返したりする『間欠性跛行(かんけつせいはこう)』に。
また残尿や尿失禁といった排尿に関する異常である『膀胱(ぼうこう)直腸障害』を起こすことも。
このような日常生活に支障が出る場合には、骨を削って神経の圧迫をやわらげる除圧術や、ずれた骨を固定する手術が必要になります」
変性すべり症は、早くみつけることが重要だが……。
「変性すべり症は、すべての人に腰痛が出るものでもありません。
そのため腰椎が大きくずれているのに放置されていることが少なくありません。また腰痛の85%は原因がわかりにくい非特異的腰痛であることが知られており、腰痛を放っておく人や、痛みをごまかして過ごしている人も多くいます。
X線やMRIで検査すれば、変性すべり症は、比較的容易に診断できます。腰痛の原因をハッキリさせて対処することが大切です」
もしかしたら痛みがなくても腰骨がずれているかも……。チェックリストで確認してみよう。
「変性すべり症では治療とともに、体幹筋と呼ばれる腹筋や背骨まわりの背筋群の強化をすることが重要です。
腰椎の安定化を図ることで進行を食い止めることができるのです。
体幹筋は天然のコルセットのようなもの。軽いスクワットやウオーキングなどで日ごろから鍛えておくことも忘れないでください」
早め早めの行動で腰痛のない人生を送ろう!