心筋梗塞増の可能性も…気をつけたい「黄砂対策」重要なのは“マスクの付け方”
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■気候変動により近年、黄砂が全国に飛来

 

つまり、健康であっても、黄砂の吸い込みは避けるべきなのだ。一方で、黄砂が飛来するエリアは、近年、拡大している。

 

「黄砂は、地球のまわりを西から東へ向かって吹く偏西風に乗って飛んできます。近年では、気候変動や温暖化によって南からの高気圧に押し上げられ、偏西風の吹く位置が北へ押し上げられることがあり、以前は黄砂が飛ばなかった青森や北海道など広範囲で観測されています」(大西さん)

 

汚染物質や金属成分を含んで、日本列島を覆う黄砂。

 

ぜんそくや心筋梗塞など、重篤な病を防ぐためにも、次のような吸い込み防止対策が必要だ。

 

「気象庁の黄砂情報をチェックして、黄砂が多く飛ぶ日には、長時間の外出は避けること。外出が避けられないときは、マスクやゴーグル、帽子を着用するなどの対策を心がけましょう。また、鼻の下にワセリンを塗ると、黄砂の侵入防止につながります」(伊藤さん)

 

アウターの素材も吟味が必要だ。

 

「黄砂は粒子が細かいので、繊維の奥まで入り込みやすい。そのため、黄砂が多く飛ぶ日には、付着しにくい表面がつるんとした素材を選びましょう」(大西さん)

 

帰宅後は、すぐにシャワーを浴びて黄砂を落とすことも忘れずに。

 

「洗濯物は室内干しに。昼から夕方に風が強くなることが多いので、外干しするなら、風の弱い日の早朝や夜間にしましょう」(伊藤さん)

 

■マスクのノイズワイヤーをフィットさせるだけで黄砂の40~50%をカット

 

加えて重要なのは、「不織布マスクの着用の仕方です」と指摘するのは、前出の大西さん。

 

「マスクを着けているだけでは、隙間からほぼ100%黄砂が侵入します。これを防ぐには、マスクについているノーズワイヤを曲げて、鼻にしっかりフィットさせること。そうすれば、黄砂の侵入を40~50%カットできることが私たちの実験でわかっています」

 

また、肌の炎症やかゆみを起こさないためにも、顔や首など露出部分には、しっかり日焼け止めクリームを塗るなどして、直接、黄砂が肌に付着しないようにしよう。

 

日ごろから、アレルギーなどに負けない体づくりも心がけたい。

 

「人間の体には、異物が体内に侵入すると抗体を作って体を守ろうとする免疫が備わっています。しかし、ライフサイクルが乱れると、免疫機能も乱れ、過剰反応してアレルギーを発症しやすくなることも。そうならないためには、規則正しい生活を送る、バランスのよい食事をとる、適度な運動をするなど、ライフスタイルを見直すことも大切です」(大西さん)

 

黄砂は5月ごろまで飛来する。お花見も防御しながら楽しみたい。

 

画像ページ >【図解あり】黄砂の濃度の分布図(他2枚)

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