一瞬だけど、我慢するにはつらいかかとのズキンとした痛み。看過すれば、最悪、歩くのが難しくなることも……(写真:Ushico/PIXTA) 画像を見る

一瞬だけど、我慢するにはつらいかかとのズキンとした痛み。身に覚えがある人はすぐに対策をしたほうがよい。看過すれば、最悪、歩くのが難しくなることも――。

 

「半年ほど前から、かかとに『ズキン』と強い痛みを感じるようになりました。以前は、歩くうちに痛みが気にならなくなったのですが……。最近では、たくさん歩いたときには症状が悪化し、痛いほうの足を引きずって歩くのがやっと。寝起きに一歩踏み出したとき、いちばん痛みを感じます」

 

都内のクリニックを受診した40代のA子さんは、足の裏の不調をこう語る。

 

これは、特に更年期の女性に多く見られる“足底腱膜炎(筋膜炎)”と呼ばれる足の疾患だ。足底腱膜炎の患者を日々診療しているという、ゆりクリニック院長の矢吹有里先生に話を伺った。

 

「足底腱膜炎は、40代以上の女性に多い疾患です。かかとの骨から足の指の付け根にかけて張り巡らされている『足底腱膜』に炎症が起きることで発症します。

 

かかとや足底が地面に着き、炎症の起きている足底腱膜が伸びると、ズキンと痛みが走るのです」

 

痛みは足底腱膜と骨がくっついている箇所で起こる。具体的には、「足裏のかかとの真ん中」や「土踏まず」だ。特に朝起きたときや、長時間座っていた後の“最初の1歩”で鋭い痛みを感じる場合は、足底腱膜炎の可能性を疑ったほうがいいという。

 

【こんな症状が出たら足底腱膜炎(筋膜炎)かも】

・かかとに体重がかかるとズキンと痛む
・じっとしているときには痛みがない
・更年期を過ぎてから症状が出るようになった
・朝起きて初めに歩くときや、長時間座っていた後歩くときに症状が出る
・歩いているとだんだん痛みがなくなる

 

では、なぜ更年期ごろの女性の発症が多いのか。

 

「更年期に入りエストロゲンが急激に減ると、筋力低下が起こり、関節を支え骨をつなぐ靭帯や腱がゆるみ、足の骨格がゆがみます。そうすると土踏まずのアーチが崩れて、足裏で衝撃を吸収しづらくなる。その結果、足底腱膜に負担がかかって炎症が起きるのです」(矢吹先生、以下同)

 

更年期女性の中でも、扁平足の人やハイヒールを履く機会を重ねてきた人は要注意。

 

「積み上げてきた足への負担が、痛みの進行を早めます」と先生も警鐘を鳴らす。

 

女性ホルモンの低下以外にも、底が硬い革靴を履く、激しいスポーツで足を酷使、体重増加、柔軟性不足なども足底腱膜炎を発症する原因であることがわかっている。

 

さらに症状が進行すると、足底腱膜に骨が引っ張られて変形し、かかとの骨にとげができるほど重症化。冒頭のA子さんのように放置すると、歩行困難に陥ることもある。「たまに起きる痛みだから」と、決して侮らないことだ。

 

次ページ >素足でフローリングを歩くのも、足のアーチが崩れる原因に

【関連画像】

関連カテゴリー: