「目覚まし時計を使わずに、自発的に目覚めた場合のほうが朝だけでなく、昼の覚醒度も上がるということが今回の研究で明らかになりました」と語るのは、国立精神・神経医療研究センターの池田大樹研究員(31)。

 

6月27日から開催された日本睡眠学会で、池田さんと、同センター・栗山健一精神機能研究室長(40)、労働安全衛生総合研究所の久保智英主任研究員(36)、高橋正也上席研究員(45)の行った研究発表が、注目を集めている。

 

その中身とは、朝、目覚まし時計を使わずに自分の力で目覚めるだけで、昼のすべての活動における能力がアップするというもの。目覚め方によって、朝だけでなく昼の覚醒度まで上がることが証明されたのは世界初のことだという。

 

「今回の研究では、現代社会において睡眠時間がどんどん短くなっていることを考慮し、睡眠時間が短い場合でも、自発的な目覚めの効果があるのか実験で確かめました。その結果、睡眠の長さに関係なく、朝も昼も覚醒度が向上するという結果が得られたのです」(池田さん)

 

つまり、どんな人でも、どんな睡眠環境でも、何時に起床しても、目覚まし時計を使わずにただ起きる時間を意識して自発的に目覚めることで、その日の昼の活動能力がアップするというのだ。もしこれが実践できれば、今まで昼に眠気によっておさえられていた能力が、仕事や家事をはじめ、対人関係における会話や思考など、あらゆる場面で発揮できるようになる。そこで、池田さんに“目覚ましを使わない自発的目覚め”実践法を聞いた。

 

【起きる時刻を意識して、実際にその時刻起きようとする】

「『もし、起きられなかったら遅刻してしまう』といった就寝前の不安な気持ちがストレスになる可能性もあるので、最初は目覚まし時計を保険としてかけておいても構いません」

 

【就寝前、ポジティブ(前向き)なことを考える】

「『今、幸せ!』というポジティブ思考よりも、『明日、目覚まし時計なしで起きられたら、朝とお昼、きっと頑張れるからその分おいしいランチを食べよう!』というような、明日の起床や予定に対しての具体的なポジティブな思考が重要です」

 

【睡眠時間を一定にする】

「自発的に目覚める習慣を持つ人は睡眠時間が一定であることが多い。ただ、睡眠時間が短いと、それだけ起床後や午後の眠気が強くなるので、あまり短すぎる睡眠時間で一定にするのはできるだけ避けましょう」

 

あなたも今日から目覚まし時計なしの自発的目覚めをマスターして、ワンランク上の自分になってみてはいかがだろうか。

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