■各自治体で廃食用油回収の取り組みが
そこで、廃食用油の回収拠点の拡大と資源循環の啓発活動を行っているのが、「Fry to Fly Project」。
現在、東京都や神奈川県、京都市などの自治体、大手企業など100団体が、このプロジェクトに参加。京都市では、1997年ごろからすでに家庭で使用した天ぷら油などの廃食用油からバイオディーゼル燃料を精製し、ごみ収集車や一部の市バスの燃料として利用している。
「京都市内には約1千700カ所の回収拠点があり、市民の方々の回収意識も高いです」(事務局)
神奈川県藤沢市や川崎市などでは、一般の分別ごみとして回収拠点を設けたり、名古屋市では、市内の回収協力店舗(スーパー73店舗)で廃食用油の回収を行っている。
ユニークな取り組みを実施しているのは埼玉県入間市。家庭で使用した廃食用油をスーパーの回収ボックスへ持ち込むと、油の量に応じてアプリに脱炭素ポイントが加算。ポイントは地域商店や市が主催する特典交換会で商品等に交換できるそうだ。
東京都も、廃食用油を回収する都内の自治体に対し、回収経費を最大200万円補助する取り組みを始めるなど、SAFへの関心度は高まりつつある。
その一方で、原料となる廃食用油の取引価格は、2021年の夏ごろまでは、1キログラムあたり約50円だったのが、その後100~150円前後を推移するなど、2?3倍に上昇。世界中で、廃食用油の争奪戦が始まっている。
「2025年までに、大阪府堺市に日本初の国産SAFの大規模生産プラントが完成し、生産が開始される予定です」(前出・社会部記者)
家庭から出た揚げ物の残り油を原料にした国産SAFで、ジェット機がバンバン飛ぶ日も近い!